…がはッ!
体の中心に走ったのは、言いようもない重い「衝撃」だった。
まるで鉄球が勢いよくぶつかってきた感じだった。
全身が浮き上がるほどの畝り。
“躍動”が、足元の地面を揺らす。
(嘘だろ…?)
自分の体が宙に浮いていたのは、測らずも分かった。
しなる竹刀の鋒が、自分の体を通して振動する。
ヤンキー野郎が視界の前方にいる。
そう感じたのも束の間だった。
体育館の壁に、——叩きつけられたのは。
ドンッ
背中に伝わる壁の感触。
ビリビリと痺れる後頭部。
吹っ飛ばされた…?
…いや、そんなことが…
「立てるか?まだ続けるって言うんなら続けるが」
続けるか…だと?
…何バカなこと言ってんだよ
続けるに決まってんだろうが。
足がふらふらする。
…なんだ、これ
どうなってんだ…?
確かに今吹っ飛ばされた。
だけど、訳わかんなかった。
捉えたと思った矢先だ。
ヤンキー野郎が懐に潜り込んでいた。
「竹刀の代えはあるのか?」
…代え?
見ると、ヤンキー野郎の竹刀が、根本からポッキリ折れていた。
そうだ。
アイツが放った一撃が、俺の体にぶつかってきた。
その時に、竹刀が軋んでいる音が聞こえた。
ビキッと、押し曲がるゴムのような「伸縮」があった。
ほんの僅かな時間だった。
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