言い争っている…?
内容は理解できないが、揉めていることは確かだった。
会話に入れないでいると、パタパタと動く羽根の音が。
「お困りのようですね?」
「うわッ!」
モフモフの謎の生物。
視界の中に突然現れた。
びっくりして声が出てしまった。
…えーっと、キミは確か…
「我輩の名はゲッコー。以後お見知りおきを」
…は、はあ
毛むくじゃらの体に、クリッとした目。
この謎の生き物を、なんていうふうに表現すればいいんだろうか?
相変わらずの一人称に驚いた。
見た目は可愛い?のに、喋り方が妙に古くさい
「…えっと、その…」
「細かいことは気にしないでください。さくら様の友達だと思えばいいですよ?」
「さくらのことを知ってるのか?」
「当然です。いつも一緒に行動させて頂いておりますので」
「いつも…?いや、そんなわけない。この前の旅館で初めて見たんだぞ!?」
「「認識」による慣性に縛られてはいけませんよ?例えあなたが認識していなくても、私が存在していることとは無関係です」
「どういう…」
「人間の「目」を掻い潜ることなど造作もありません。例えば、ほら、こうして姿を消すことも」
そう言うと、空気に融け込んだようにスゥーッと体が消えていった。
かと思えば、また、現れる。
まるでカメレオンだ。
…光学迷彩とか、そういうレベルじゃないかもしれない。
完全に見えなくなるなんてことがある!?
声や実体すらも消すことができるそうだが、原理はどうなってんだ??
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