あの時起こったことを誰かに話すつもりはなかった。
口止めされてるわけじゃない。
ただ、今まで秘密にしてきたことだったらしいから、喋っちゃいけないかなとは思ったんだ。
喋ったところで、誰も信じてはくれないだろうが…
「そういえばなっつんは?」
「え、何?私?」
「夏休みに東條先輩とユニバに行くって言ってなかった?」
「…ああ」
「どうなったん??」
そうだ。
確かそんなこと言ってたな。
ユニバに行ったのか?
東條先輩というのは1学年上の先輩で、野球部のキャプテンだ。
控えめに言ってめちゃくちゃかっこいい。
かっこいいっつーか、清涼感の塊?
あくまで男目線で評価すると。
「楽しかったよ」
「…なんだそのビミョーな感想は」
「そう?」
「もっとこう、なんか無いの?超楽しかったー!!!みたいなさ?」
「語彙力無さすぎ。楽しかったって言ってんじゃん」
…全然そんなふうに見えないんだが?
めっちゃ楽しそうにしてたよな?
「ダイナソーは絶対乗る!!」とかなんとか。
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