「魔法障壁か。そんなもの、力ずくでこじ開けてやる」
見えない壁に阻まれた後、ヤンキー野郎は続けざまに態勢を整えた。
攻撃を防がれた直後だ。
両腕を振り下ろした勢いに任せて、再び距離を取る。
今度はさっきよりも近い。
そして、“低い”。
連撃への滑らかな動作の繋ぎ。
その対角線上に、ゆったりと動く彼女の「構え」が。
ダンッ
直線上に移動しようとする時間。
勢いのままに地面を蹴ったヤンキー野郎の靴底が、床を強く振動させる。
体重を利用しようとする脚。
地面の”平面“から剥がれようとする指。
攻撃への連撃は滑らかだった。
動作の合間には”隙”がないほどだった。
しかし——
攻撃から攻撃へのモーション。
その流れの中に、「外」からの“異物”が割って入る。
「腕」だ。
腕が、突如として伸びてきた。
風船が突如として割れたような変遷が、目の前にあった。
俺はそれを「目」で捉えることはできなかった。
ヤンキー野郎が流れの中に動いていた。
それは追えていたんだ。
ゆとりもないほどの短い間隔。
その“縫い目“の中には。
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