「…コホンッ。吾輩のことは置いておいて、今はご自分の状況を理解された方がよろしいかと」
「状況っつったって…」
「理解できないのも無理はありません。さくら様ならともかく、あなたはまだ「魔法」という言葉さえも知らないのですから」
「魔法??」
「前回の「話」はどこまで覚えてらっしゃいますか?」
「前回の…話…」
「旅館でのことです」
正直あんまり覚えてない。
覚えてるには覚えてるよ?
「悪魔」のこととか、契約を交わしたっていうこと。
あと確か…
「魔界があるとか何とかって…」
「そうですね。まあ「魔界」と言っても、その世界の呼び方は様々ですけれども。単刀直入に聞きますが、その「話」を信じてはいますか?」
「魔界があるって…?」
「その他諸々です」
「うーん…、まあ、そりゃあ」
信じる信じないはともかく、“整理できてない”って言うのが正しい。
あの日の出来事をどう解釈すればいいのか、ずっと考えてた。
「今」もそうだ。
何が起こってんのか、正直よくわからない。
わかろうとすることが、そもそも間違いなんじゃないのか?って思える。
…なあ?
…何が起こってんだ?
…なんで俺は、ここに…
「話は後です。結界を張るので下がってください」
「は?」
「しばらくここで待機を。これから『ゲート』を開きます」
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