「ようこそ、——常世へ」
「と、とこよ??」
「ここは、地上と魔界の中間です。“常夜“とも呼ばれています」
木も何も生えていない広大な荒野。
雲ひとつない空。
土の色は色褪せていて、虫の1匹さえ見当たらない。
風はなかった。
空気の澱みも。
「ここに訪れることができる人間は、そうそう居ません。少なくとも、生きている間は」
「…どういうことだ?」
「あなたはまだ生きていますし、地上との関わりを持っている人間です。この場所に来られるのは、死んだ後か、もしくは「契約」を交わした時です」
「契…約…?」
「悪魔との契約は「魂の投棄」を意味します。契約の条項に従えば、途中で契約が破棄されない限り、肉体と精神は分離します。「形」を失うといったほうがいいでしょうか?契約を結んだ時点で、魂は魔界と通じるようになります。それはつまり——」
「つまり…?」
「来ますよ」
そう言われて、前を見た。
視界が届いた先にいたのは、異形の姿と化した“怪物”が。
…なん…だ…?
一体…何が…?
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