『元凶』
それは”外”の世界からやってきたそうだった。
俺たちが住んでいる星の外、星海の深淵から。
「大魔導士ゼロムス。彼女は“彼”をそう呼んでるの」
「…なに…それ…」
「人間界を支配し、魔界との境界線を壊そうとしてるって」
「…ハハ」
俺は当然、彼女の話を信じなかったわけじゃない。
少なくとも、信じようとはした。
それ以外になかったからだ。
さっきの出来事を頭の中で整理するには。
だけど…
朝が来るまで、耳を傾けてた。
耳の中に入ってくる意味不明な言葉たちは、どれも現実のものとは思えなかった。
…なんだよ、“プリンセス”って
魔導士ゼロムス?
人間界の危機…?
どれも正気の沙汰とは思えない。
信じる信じないの問題じゃなくて、まず、理解ができなかった。
順を追って整理しようとした。
でも、…ダメだった。
考えば考えるほどどうにもならなかった。
一旦この話はやめようってことで、俺たちはそれぞれ床に就いた。
外はもうじき、明るくなり始めようとしていた。
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