プリンセスは殺し屋

殺すぞ?
平木明日香
平木明日香

第14話

公開日時: 2024年1月10日(水) 08:39
文字数:780



 「仕方がないだろう。こうでもしなければ、此奴はまたさくらを襲おうとするぞ」


 「さくら様は同意しておられたようですが…」


 「ほう。お前はさくらの味方をするのか。ではなんだ?私の「体」を此奴の好きにさせていいとでも?」


 「ブーニベルゼ様の体である以前に、この体の所有権は主にさくら様にあります」


 「だとしてもだ。それに、こんな小僧に何ができる?なぜ私が此奴らのままごとに付き合わなければならんのだ」


 「それはそうですが…」



 謎の生き物は、パタパタ羽を動かしながら彼女と話していた。


 声は高く、女の子っぽい声色だった。


 …いや、そんなことはどうでもいい。


 一体なんで「喋って」るのか。


 それが謎すぎるんだが…



 「…ふん。まあいい。おい、小僧。「私」が何に見える?」


 「何…って…」


 「私は貴様が思っているような単純な生き物ではない。いや、本来「生き物」というのはどこにも存在していないかもしれんな。この”地上“では」


 「…はい??」


 「私がさくらではないことは、なんとなくわかるか?」


 「…あ、えっと…」


 「つまりそういうことだ。さくらと私は1つの体を分け合っている。契約を交わしたんだ。もう10年以上も前に」



 …契…約…?


 1つの体を分け合っている…って??



 「“無断で体に触れるな”とはそういうことだ。わかるな?」


 「さくらは…?さくらはどこに?!」


 「案ずるなと言ったろう。話が終われば元に戻る」


 「あんたは誰だよ…!」


 「だからさっきから説明しているだろう。私は人間ではない」



 人間じゃないって言われたって…


 「悪魔」とか、そんなふざけた話が…



 「さくらが望めば、お前を殺すことだって容易い。ありとあらゆる「死」の体験をさせてやることも。…まあ、せいぜいそうならないことを祈るんだな」


 「ダメですよ。あまり怖がらせては」


 「ふふ。しかしこんな小僧の何が良いのか私にはわからん。自分よりも弱い生物を好きになるなどと…」




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