「…ガッ!?」
空間が歪む。
時間に”亀裂”が入る。
不意にそう見えてしまった。
ヤンキー野郎が踏み出した足は、すでに地面の懐を掴んでいた。
体重移動が速やかに移行されていた。
そこに、つけ入る隙などなかった。
ドッ
視界の外から侵入してきた腕。
その「先端」が、ヤンキー野郎の首根っこを掴む。
強制的に歪む視界。
掴まれた衝撃によって、浮き上がる体。
それは、「結果」によってのみ目の当たりにすることができる“現象“だった。
意識の外からだった。
まるで落雷だった。
雷が落ちる様子を人は目で追うことができない。
ただ、「光った」という結果を後から知ることしかできない。
それほどまでに濃縮された“一瞬”だった。
首を掴んだその腕が、時間の流れの中に通り過ぎ——
読み終わったら、ポイントを付けましょう!