「信じられないよね…?」
「…ま、まあ」
「…ほんとはさ、いつか打ち明けようとは思ってたんだ。彼女は私の恩人だし、頼れるお姉ちゃんみたいな存在だったから…」
彼女、——つまりブーニベルゼという悪魔は、さくらが5歳くらいの頃に彼女の前に現れ、それ以来そばにいたらしい。
そばにいたと言っても、最初は「夢」の中に現れていたそうだ。
子供の頃だったから、記憶が定かではないらしい。
ただ、彼女の中にいる悪魔、——「魔族」と呼ばれる怪物は人間の魂に干渉して現れるそうで、「契約」を交わせば、交わした人間の体を介して姿を持つことができるそうだった。
契約とは“血の契約”と呼ばれ、互いの血を体内に取り入れることで、お互いの「世界」に干渉できるようになる。
…と、ここで俺は頭を抱えた。
情報量が膨らみすぎていたからだ。
「ちょっと待て!」
「はい」
「血の契約!?どうやってお互いの血を!??」
「それがあんまり覚えてないんだ…。気がついたら、彼女が私の体に入ってて…」
「覚えてないって…」
「でも、安心して?一般人には危害を加えない。それに、私の知り合いには手を出せないはず。契約の条項にあるから」
彼女は必死に説明していた。
どうやら、あの悪魔は相当危険な存在らしい。
直接そう言われたわけじゃないが、彼女の態度でなんとなくそう感じた。
そもそも「契約」とは…
話がぶっ飛びすぎててビビる。
ようは、さくらの体の中に“入ってる”ってこと?
…そういうことだよな?
ちゃんと理解できてるかどうかは怪しいが…
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