「着ないなら着ないでもいい。怪我しても知らないからな」
わざわざ付き合ってやってるっつーのに、着るだ着ないだので貴重な時間を使うな。
こちとら練習が控えてるんだ。
さっさと終わらせてやるから位置につけよ。
どうせ、3分も持たない。
「おい、陽菜。刺客を連れてくるのはいいが、ちゃんとマシなやつを選べ。これじゃ練習にもならん」
「ふん!偉そうな口を聞かないでくれる?言っておくけど、今回はそう簡単に倒せる相手ではなくてよ」
そうは言うが、コイツを見てみろ。
どれだけ強いのか知らんが、竹刀の持ち方もわからんようなヤツだぞ?
前から言ってるが、いくら喧嘩に強かろうが俺には勝てない。
「ルール」ってもんがあるんだ。
単純に竹刀を振り回す競技じゃねーんだ。
そこんとこいい加減理解しろ。
「こんな物を人間は「武器」と呼ぶんだな」
「…は?」
「途中で怪我をした場合はどうなるんだ?」
「ちゃんと胴着を着ければ怪我なんてしない」
「俺の話じゃない。お前が、だ」
怪我なんてするわけないだろ。
足元が滑るとか竹刀が割れるとか、イレギュラーなことが起こらない限り、そうそう起こるもんじゃない。
捻挫とかも怪我に含まれるのか?
安心しろ。
お前なんかの打撃じゃ捻挫にならん。
剣道を甘く見るな。
まずはルールブックを見ることを推奨するぞ?
適当に振ってたんじゃ、有効打なんて一生取れない。
…それともなんだ?
当てればいいと思ってんのか?
だとしたら大間違いだ。
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