「強い」ってなんだろう?
その答えを、直接ジッちゃんから教わったことはない。
そんな答えはどこにもないのかもしれない。
そう思えるほど、いつも漠然としてた。
なんでジッちゃんは剣道をやってたのか。
なんで、あんなことを言ったのか。
考えれば考えるほどモヤモヤした。
竹刀を握り続けるしか、答えを得られないのかもしれないって、——思えた。
「今日こそ決着をつけるときね。葛城ユウト!!」
体育館の観客席で、腕を組みながら見下ろしている女子が1人。
凛とした立ち姿。
キリッとした鋭い瞳。
立体感のあるお嬢様ヘアー(ふわふわポニーテール)が、てっぺんについた黒いヘアアクセサリーの下でクルッとウェーブを巻いている。
学園一、二位を争う美少女と噂されるだけはあり、その存在感は圧倒的だ。
彼女が一声あげるだけで、全校生徒は一斉に振り向く。
男子はとくにだ。
彼女に目をつけられた生徒は1人残らず退学処分か、自ら登校を拒否するほどの精神的ダメージを負わされる。
それはこの校内においてのみならず、だ。
渋谷区、及びその付近の高校は彼女の縄張りであると言っていい。
…全く、とんでもないやつに目をつけられたもんだ。
こちとら、普通の学校生活を送りたいだけだってのに。
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