「…な、な…」
「驚いたか。まあ、無理もない。だがこうするのが一番手っ取り早かろう。言葉では、うまく理解できんだろうからな」
理解が追いつかなかった。
…一体なんだ…これ…
彼女は不敵な笑みを浮かべている。
ビビる俺を見下ろしながら、堂々と腕を組んでいる。
凛とした立ち振る舞い。
圧倒的な存在感。
その“何もかもが”、さくらとはかけ離れていた。
突然「姿」が変わった。
見た目が変わったとかじゃなく、姿、「そのもの」が。
コスプレなんかじゃない…
かといって、別の人間が現れたわけでもない。
目の前に現れた“もの”がなんであれ、異常な出来事には違いなかった。
…だって、翼だぞ…?
翼が生えてるんだぞ…??
目は紅いし、ツノみたいなものまで生えてる。
人間…じゃないよな!?
どう見てもそうだよな?
じゃあ、なんだ…?
なんなんだ、これは…
「この姿は私の完全な「姿」ではない。だが、十分だろう?改めて挨拶させてもらうが、「私」は人間ではない。数ある魔族のうちの1人だ。…ふむ、そうだな。人間界で言うところの「悪魔」と言った類のものか?なんにせよ、人間ではない」
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