シッ
息を吐く挙動。
ブーニベルゼは怪物の攻撃を真正面から迎え撃った。
見えない壁は怪物の攻撃によって巨大な波紋を広げ、——ひび割れた。
怪物の掌に収縮していた得体の知れないエネルギー弾が、壁の表面を穿つようにぶつかった。
黒い稲妻が周囲に伝播した。
空気が圧されるほどの強い衝撃波が、漂流する大気の層を灼く。
ザシュッ
それは「斬撃」に違いなかった。
肘を曲げながら距離を取る。
連動する下半身の動きの中で、左右に動く重心がある。
セーラー服のシャツがなびき、赤いスカーフが波打つ。
スニーカーが地面を掴んだ。
靴底が土とぶつかり、平らな表面を沈ませた。
刀が、滑空する。
黒い刀身が空気の波を裂き、“縦”に疾った。
怪物の動きが一瞬硬直したように見えた。
硬直し、よろめいた。
ブーニベルゼはその「場」に留まっていた。
斬撃が疾った後も尚、肘の位置は固定されたままだった。
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