「お前を倒せば、龍宮寺さくらに会えると聞いてな」
「は?」
…何言ってんだ、コイツ
さくら?
なんでさくらの名前が出てくるんだよ
「さくらに何か用か?」
「お前には関係ねー」
はぁ?
ヤンキー野郎は多分関東国際の生徒だ。
緑のブレザーに、学校の紋章を模ったオリジナルのエンブレム。
トラディショナルなタータンチェックのズボンが、はだけたシャツの下に伸びていた。
「ルールは3本勝負なのか?」
「そうよ。先に2本先取した者が勝ち」
「相手が死んだ場合は?」
ざわつく体育館。
ヤンキー野郎のとんでも発言に、空気が一瞬固まる。
そうでなくとも、視線が一箇所に集まっていた。
注目されている中での衝撃発言。
死んだ場合、って言ったよな…?
周りの生徒もそう聞こえたに違いなかった。
じゃなかったら、こんな空気にはならないだろう。
「コホンッ。貴方の強さは認めているわ。だけど、ある程度の節度は守ってもらいましょうか。ここに呼んだのも、ルールは守ると約束したからよ」
「ハイハイ」
何やら揉めているようだった。
今までこんなことはなかった。
陽菜に雇われた刺客どもは全員、陽菜に惚れているか金に釣られているかだった。
いずれにしても陽菜の命令に付き従う従順な奴らだ。
だがこのヤンキー、今までのやつらと何かが違う。
「これが武器か?」
竹刀を持つなり、面白そうにそれを眺めていた。
そこ、持つとこじゃねーぞ。
逆だ逆。
…絶対に剣道の経験者じゃないだろ。
しまいには、“胴着は着けない”と言い始めた。
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