プリンセスは殺し屋

殺すぞ?
平木明日香
平木明日香

第53話

公開日時: 2024年2月7日(水) 16:35
文字数:522



 さく…ら…?



 俺は唖然とした。


 というより、驚いた。


 なんでさくらが…?


 こんな時間に体育館に来るなんて珍しい


 誰かが呼んだのか?


 まさか、陽菜のヤツが…?


 


 腕を組みながら立っていた。


 表情はどこか、険しかった。


 いつの間にそこにいたんだ?


 っていうか、なんで…?



 「世界一の剣士になるんじゃなかったのか?」



 スタスタと近づいてきては、叱りつけるようにそう言った。


 さくらは俺のことを応援してくれていた。


 付き合った当初からだ。


 彼女は中学時代の俺のことを知っていて、剣道の試合会場にいつも駆けつけてくれていた。


 そのことを知ったのは付き合ってからだった。


 彼女の「憧れ」だった人が、剣道の試合を見にきていたのがきっかけだった。


 最初は、剣道にも俺にも興味はなかったらしい。


 ルールすら、——だ。



 「こんな下等魔族に遅れを取るとは、やはり人間は弱いな」



 …なんだ


 …何を言ってる?



 妙な違和感が頭の中に掠める。


 彼女の口調、視線。



 ——以前、どこかで




 「ふはッ。まさかそっちから出向いてくれるとは」


 「…なんだ?貴様、誰に向かって口を聞いている」




 対峙する2人。


 ヤンキー野郎とさくらは、“知り合い”みたいだった。


 少なくとも初対面じゃなさそうだった。


 お互いの間にある距離感が、初めて会うにしては、どこか



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