さく…ら…?
俺は唖然とした。
というより、驚いた。
なんでさくらが…?
こんな時間に体育館に来るなんて珍しい
誰かが呼んだのか?
まさか、陽菜のヤツが…?
腕を組みながら立っていた。
表情はどこか、険しかった。
いつの間にそこにいたんだ?
っていうか、なんで…?
「世界一の剣士になるんじゃなかったのか?」
スタスタと近づいてきては、叱りつけるようにそう言った。
さくらは俺のことを応援してくれていた。
付き合った当初からだ。
彼女は中学時代の俺のことを知っていて、剣道の試合会場にいつも駆けつけてくれていた。
そのことを知ったのは付き合ってからだった。
彼女の「憧れ」だった人が、剣道の試合を見にきていたのがきっかけだった。
最初は、剣道にも俺にも興味はなかったらしい。
ルールすら、——だ。
「こんな下等魔族に遅れを取るとは、やはり人間は弱いな」
…なんだ
…何を言ってる?
妙な違和感が頭の中に掠める。
彼女の口調、視線。
——以前、どこかで
「ふはッ。まさかそっちから出向いてくれるとは」
「…なんだ?貴様、誰に向かって口を聞いている」
対峙する2人。
ヤンキー野郎とさくらは、“知り合い”みたいだった。
少なくとも初対面じゃなさそうだった。
お互いの間にある距離感が、初めて会うにしては、どこか
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