「ぐはッ…!」
咄嗟にガードの構えを取るが間に合わない。
空間を裂く竹刀の軌道が、俺の首を捉えた。
「どうした!?日本一の剣士と聞いていたが?」
…コイツ
見かけによらずなんてパワーだ。
ルールがわかってないからか、首への一撃は有効打とはならなかった。
だが予断は許されない。
体勢を崩されながらも考えた。
引くしかない。
引いて、竹刀の出し入れできる「位置」を見出す。
…だけどどうする?
持ち直したところで、相手の動きを把握できてない。
予測できない動きに対処できるほど、状況にゆとりはない。
どうする
どうするどうする…!
ダンッ
右足で踏ん張りながら急ブレーキをかける。
引くのが最善かもしれないが、「最善」が機能するほどの局面にはない。
だったら真正面から迎え撃つ。
来るなら来いよ!
肘を畳んで竹刀を立てた。
眼前には、竹刀を振りかぶって向かってくる相手が。
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