「今日もいつもと同じルールよ。待ったなしの3本勝負。いい?負けたらわかってるでしょうね?」
…はいはい
俺から別れ話を切り出すって話だろ?
しつこく言わなくてもわかってる。
最初はそんな理不尽な話が…とは思ったが、どうせろくな奴が来ない。
それに3本勝負。
どう転んでも俺が負ける要素がない。
全国大会に出てくるような奴らだったらワンチャンあるかもしれないが、仮に来たとしても所詮は高校生レベル。
俺の敵じゃない。
「で、竹刀とか胴着は?」
「そんなもん持ってきてねーよ」
なんだコイツ。
あのお嬢様に呼ばれたとは言え、体育館の敷地を踏むんだ。
最低限の礼儀は持ってもらおうか。
「道具は更衣室に用意してあるわ。千枝、案内してあげなさい?」
「はっ。畏まりました」
龍宮寺陽菜には取り巻きが3人いる。
1人は空手の黒帯持ち、主人のためならどんな手段も厭わない“冷徹なる秘書子”こと黒柳ツカサ。
コンピューターの知識ならお任せあれ、ちょっとしたサイバー犯罪にも手を染めたことがある”電脳世界のマジシャン”こと城島リカ。
狩猟歴13年。家庭菜園から農場管理までお手のもの。狙った獲物は逃さない“歩くスナイパー“こと草鹿千枝。
彼女たちは常に陽菜の周りにいて、彼女のボディーガードや生活周りの助手を勤めている。
そこらへんの男共じゃ太刀打ちできないような戦闘力の持ち主どもだ。
特にツカサ。
アイツは少なからず俺とも因縁があり、直接立ち合わせたことがある。
その時は空手の道場の上だったが、尋常ならざる殺気を発していた。
多分空手じゃ勝ち目がない。
そう思わせられるほどの存在感で、他を圧倒していた。
負けはしなかったがかなり苦戦した。
間合いの取り方が絶妙だったんだ。
近づこうとしても、先に察知されるっていうか…
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