驚いたのは俺だけじゃなかった。
ヤンキー野郎は目の前の出来事に対処できていない。
首を掴まれたと同時に視線が泳いでいた。
何が起こったのか、理解できていないようだった。
ドンッ
伸びてきた腕が2人の距離を交錯させる。
ヤンキー野郎は態勢を崩した。
地面へと無理やり押し倒されていた。
垂直に落下したように視えた。
掴まれた拍子だった。
宙に飛び出していた体が、地面へと“急降下”したのは。
さくらの右腕は白くて細い。
とても人1人を押さえつけれるほどの力があるようには思えない。
そんな「常識」を嘲笑うかのように、体ごと“押し込んでいる”
首を掴まれたままだったせいか、息苦しそうにヤンキー野郎は抵抗していた。
必死に腕を引き剥がそうとしていた。
両手で、さくらの腕を掴み。
「グッ…!」
「誰の差金だ?」
「…ハッ。なんのことだ?」
「私が「誰」かを知らされていなかったんだろう。違うか?」
「だとしたら何だ…?」
「忠告しておく。貴様ら“国連“の関係者どもは、少々地上の微温湯に慣れすぎている。人間たちの常識に囚われているうちは、命は無いと思え?」
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