プリンセスは殺し屋

殺すぞ?
平木明日香
平木明日香

第69話

公開日時: 2024年2月23日(金) 23:39
文字数:568



 “なぜお前にいちいち話さねばならんのだ?”



 彼女はそう言っていた。


 2人がどういう関係なのかはわからなかった。


 陽菜で間違いない。


 あくまで、「見た目」の話ではあるが。


 だけど“本人”じゃない。


 それはさくらが、あの悪魔に変わった時と同じような感覚だった。


 陽菜のことはよく知らないが、陽菜じゃない。


 何となく、そう感じた。



 「一体どこまで知っているんです?」


 「私が悪魔であるということは知っている。少なくとも、「さくら」ではないことは」


 「なぜ?」


 「だからなぜそれをお前に説明しなきゃならん」


 「地上の人間には知られてはいけない。それがルールでしょう?公安の人間でもないのに」


 「心配するな。世の中は常に変化している。いずれ日常的になるさ。私たちが地上にいることは」


 「その時はその時だと思いますが、今は状況が違います」


 「お前はどうなんだ?ルールがどうかと言うが、お前がやっていることは犯罪だぞ?」


 「心配いりません。私の主人は三葉財閥の令嬢ですから。何かあっても揉み消せますわ」


 「そういう問題じゃないだろう。仮にコイツが死んでいたら、さくらがお前を許さなかったぞ?」


 「死んでしまえば、新しい肉体を与えるまで。いい加減、お姉様も理解したほうがよろしくてよ?」


 「何をだ?」


 「その体を捨て、家に帰るんですよ。こんな汚れた場所に何年もいると、魂まで穢れてしまいますわ」



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