「しばらく熱があったって言ってたけど」
「だだだ大丈夫です!ご心配なさらず!」
あーびっくりした。
なら安心っ!と言ってUターンする。
葵先輩の家は山の方にあるみたいだった。
バスに乗って、田んぼの見える細道を走った。
博多市内から電車に乗って、30分も経たないこの場所は、私たちが住んでいる町と少しだけ、似ていた。
「お昼ご飯は?」
「まだです」
「どっかで食べよっか」
「いやいやいや、大丈夫ですよ!」
「でもお腹空くでしょ?」
先輩はバスの窓を開けて、サラサラの髪を靡かせている。
私は緊張してた。
初対面だっていうのと、祐輔のアドバイスのなさに。
(ちょっと…!何話せばいいの!)
(お前の好きなように話せばいい)
好きなようにって言われたって…
先輩は私に話しかけてるんじゃなく、あんたに話しかけてるんだ。
あんたが対応しろよ。
せっかく会いに来てるのに。
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