「この、不法侵入者め」
不法侵入者…?
「誰のこと言ってんの?」
「お前しかいないだろ」
私…?
なんで不法侵入者扱いされなきゃいけないの。
大体あんた、なんで…そこに…
「久しぶりだな」
「…久しぶり…だけど…」
再会の挨拶を交わしてる場合じゃない。
どういうこと!?
幻…覚…?
「お前にしか見えてないと思う。多分」
…は?
私にしか…?
「ほら、触ってみ?」
そう言いながら近づいてきて、体に触れてみろと言う。
だから手を伸ばした。
そしたら…
触れ…ない…?
嘘だと思って、何度も手を動かす。
信じられないと思った。
祐輔の体が透けてる。
透けてるっていうか、光に触れたみたいに手が通り抜けてしまう。
感触がなかった。
それどころか、…手が、体を貫通して…
「な?言った通りだろ?」
…な?
じゃなくてさ…
…え
…なんで??
説明した気になっている祐輔。
けど、全然理解できてない。
すぐそこにいるのに、触れないんだ。
幽霊ですか?っていうくらい、スカスカで。
「俺の体を返せ」
「…は?」
「何勝手に人の体に入ってんだよ」
…バッ
勝手に入ってるわけじゃないし!
気がついたらあんたの体に入ってたんだって!
そもそも、なんで触れないの…?
ほんとに幽霊…とか…?
「俺もよくわからないんだよ。目が覚めたと思ったら、こんな感じ」
こんな感じ…って
看護婦さんは祐輔のことが見えてないみたいだった。
というか、ガラスの向こうに映ってない。
ハッと思って、手鏡をかざしてみた。
そしたら、やっぱり…
「映らない…」
「ほんとに幽霊なのかもな」
「なのかもな…って、なんでそんなに悠長なの?」
ほんとに幽霊だとしたら、やばくない?
死んでるってことにならない?
…あ、でも、私が体に入ってるってことは、肉体はまだ、健全なわけか…
うーん???
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