「…三夏!ねえ、三夏!!」
「…千枝さん。落ちついて…!」
…母さんの声がする。
それと、…男の人?
周りを見渡すと、たくさんベットが敷き並べられていた。
マスク姿の人達と、白いエプロン。
母さんもその中にいた。
ヘンテコな白い帽子をつけて。
「…母…さん…?」
喉がガラガラだ。
詰まって何も出ない。
どっかに水ない?
「…あの」
近くに人がいたから、呼ぼうとした。
腕には包帯と、チューブみたいなものが張り付いてる。
なにこれ…??
首にはなにか巻き付いてるし、思うように動けないんだけど…
「…あの、すいません」
「あ、橘さん!目が覚めましたか!」
橘さん?
…えーっと
どちら様のことでしょうか
ベットの横には、機械とモニターが設置されていた。
着た覚えのない服。
関節の痛み。
「イタタタ」
「あまり無理しないで。ここがどこかはわかりますか?」
…ここが、どこか…?
うーんと、私の部屋じゃないことは確かなんだけど…
「…あの、今何時ですか?」
「今は朝の8時です。木曜日の」
木曜日??
…あれ
今日って確か…
カレンダーを見ようと思ったけど、無いな…
っていうかスマホは?
枕元に置いてたはず…
「私のスマホ、知りませんか?」
「スマホ…ですか?えーっと」
自分が今どこにいるのか
今、何時か
そんなことが頭の中に掠めて、記憶を辿る。
恭子にラインを送った後、寝たんだ。
朝、吹奏楽部の練習があるから、早めに寝ようと思って…
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