これは1年前、僕が11歳の時のお話です。
僕はその日、お母さんと一緒にスーパーにお買い物に来てました。
お母さんに今日の夜ご飯は何って聞いたらお母さんは「ハンバーグよ」って答えたのでとても嬉しかったのを覚えています。
それでお母さんが最後に卵を買うと言って、いろんな卵が置いて有る卵のコーナーに来ました。そこで僕はとても不思議な物を見つけました。
それは普通の白い卵と同じサイズの黒い卵でパックの中の白い卵に混ざって入っていたんです。
僕はそれをお母さんに言うととても変な顔をして「そんなの、入ってないじゃないの」って言うんです。
僕はあれれと思い、何度も目を擦ったり瞬きしてその卵を見たけど、その卵はやっぱり真っ黒でした。
僕はどうしてもその卵が欲しくなり、お母さんに言って、黒い卵の入ったパックを買ってもらい、
家に帰ってからすぐに卵のパックを開けてその黒い卵をこっそり取り出して自分の部屋に持っていきました。
その卵はティッシュを引いてベッドの様にして自分の机の上に置いておきました。
それから僕はこの真っ黒い卵を見るのが楽しみで楽しみで仕方無くなりました。それはその黒い卵が日に日にキラキラと光りだしたからです。
それは僕の目がおかしくなっちゃったのかな?って思ったけど、やっぱり寝て起きると、昨日より今日の方がキラキラしている気がしたんです。
そして卵を手に入れてから1週間後、その日の朝から卵はまるで明かりが点いているみたいにピカピカキラキラ光ってました。
僕はとてもワクワクした気持ちで小学校に行きました。そして家に帰って卵を見るとその卵にはひびが入ってました。
僕はその時、本当にワクワクして早く生まれないかな?ってずーっと卵を見つめてました。
でもその後、卵のひびがこれ以上入ったりだとか、生まれたりだとかしなかったので残念でしたが寝ることにしました。
その日の夢は本当に本当にとても不思議な夢でした。僕の二倍くらい大きい人の背中に乗って空を飛んでいたんです。
僕は夢の中でも思ってました。人は飛行機に乗らないと空を飛べないなって。でもその人の背中には真っ黒でキラキラしている翼を持っていました。
それはキラキラと光っていてお月様も出ていました。風はとても心地よく、空を飛ぶのはふわふわした感覚で今にも眠ってしまいそうでした。
夢の中で眠くなるなんておかしいなぁって思っていたら急にその人から声がかかりました。
「坊や、私を大切に育ててくれてありがとう。その優しい気持ちを忘れないでね」
僕は分かったと返事をしたら急に眠くなってそのまま、眠ってしまいました。
朝起きるとそこは僕の部屋で、僕はさっきまでの体験が夢だったんだなーと納得しつつも残念に思いました。
それからテーブルを見た僕はあっと声を上げました。
テーブルの上には黒い卵の殻が割れた状態で残ってて、その殻の中に奇麗なカラスの羽が一本、残ってたんです。
そして僕はやっぱりあれは夢じゃなかったんだ!と嬉しくなってカラスの羽を手で持ち抱きしめました。
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