十二月十五日に、和歌山牡丹様は領主になった。
即位宣言時の演説の通り、和歌山様は身を切る策を実行した。それ以前から演説の影響で食糧価格は下がりつつあったが、実際に行動したことで完全に通常の価格に戻った。
そして、その一週間後に行われた世論調査では、国民の大半が支持すると答えた。
主な理由として二つ。一つは、庶子ではなく嫡子だったこと。正式に三上家の血を継いでいるのだから、誰も文句は言うまい。そしてもう一つは、能力者であったこと。沐に選ばれたことと、領主になったことは直接の関係はない。しかし、天に選ばれた神秘性が、国民を惹きつけた。もっと論理的に言うと、話題性と知名度が支持率を後押ししたと言えるだろう。
和歌山様は社会福祉に力を入れる方針のようで、布地財団に知識を貸してほしいと依頼した。百合様の夢が、実現する日は近いだろう。
執筆 宮峰 燈留
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