〝呪い〟は使う者によって「呪い」または「呪い」の意味を持つ。
呪いは恨み憎む相手に災厄が起こるように仕向けることを云い、呪いは災厄を退けることを云う。
呪とは、災厄を退けることのできる陰陽師の力ことを云う。
900年前、呪力で妖狐玉藻前を追い詰めた陰陽師がいた。
その陰陽師は神格化し神となった妖狐である天狐と、玉藻前を退治する契約をした。
天狐は契約により、その陰陽師に玉藻前に対抗できるだけの力を与えた。
他に玉藻前に立ち向かえる者はなく、陰陽師の孤独な戦いが始まる。
玉藻前を恐れ、誰も陰陽師とは関わろうとしなかった。
誰かと心を通わせることもなく玉藻前と戦い続ける日々に、陰陽師は心を閉ざしていった。
すでに心を失くしたと思った頃、陰陽師は一人の協力者に恵まれる。
それは天狐に仕える巫女だった。
玉藻前を倒すために共に戦う同志としてその巫女を自分の心に受け入れた。
そうして、陰陽師の孤独な戦いは終わり、いつしか陰陽師にとってかけがえのない存在に変わっていった。
やがて、その巫女の助けもあり玉藻前を追い詰めることができた。
傷つき妖力が弱まった玉藻前は、その巫女を自らに取り込み妖力を取り戻そうとした。
しかし、その巫女は玉藻前に取り込まれる前に自ら命を絶つ。
玉藻前に取り込まれぬように…。
そうすることで、陰陽師を守るために…。
そして、妖力を取り戻せなかった玉藻前は封印され殺生石に姿を変えた。
その際に陰陽師は力を玉藻前に奪われる。
玉藻前の息の根を止めることはできなかったが、殺生石に封印されたことで動けなくなり、世の中に平和が戻った。
しかし、世の平和と引き換えに陰陽師は力を失い、大事な存在を失った。
巫女という、唯一自分の孤独な心を埋めてくれる存在を。
陰陽師は心の一部を失ったかのような空虚な気持ちと、哀しみ、そして耐えようのない孤独が心を満した。
残されたのは大切なものを失った心の痛み。
永遠に続く孤独の中で、その痛みは続いていく。
陰陽師は痛み震える心を抱えて生きていく。
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