私の行く先々で事件が起こる件について 3話

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魔技者
魔技者

閃き、迷う

公開日時: 2023年10月11日(水) 20:00
文字数:5,216

女三人寄れば姦しいと言う言葉がありますが、この小説の場合、3人集まると……?

ガチャ

「ただいまー」


「アリリちゃんか? お帰りーリ。大分激しい戦いだったーリ? ん? 何でお腹が膨れているんだーリ? アリリちゃんは排便で逆にお腹が大きくなってしまう特異体質なのかーリ?」


「そ、そんな所よ」(やめてーそんなにお腹を集中して見ないでー)

現在アリサの服の中にはネクロノミコンが隠されている。普通にカバンの中に隠しておけばよかった物を……何故腹に?


「アリリが帰って来たリキ! お帰リキ!!」


「リキちゃんただいま。ちょっと便秘で……あっ語尾略してるよ! この場面ではお帰りリキが正しい使い方で……」


「市田さん……市田さんが生きていれば言ってくれた言葉リキ( ;∀;)」

うっすらと涙が滲み出る。


「リッキイ……ごめん……」

誰に謝っているんだい?


「こらアリリ! 下品な言葉を使うなーリ」


「え?」


「便秘と言ったーリ」

便秘が下品なのか? 排便よりは下品ではないと思うが? 大腸の中に貯まって留まっている状態と、それが今まさに排出されている状態。

どちらが下品かは火を見るより明らか。


「メデューリさん……もうこの話は止めにしましょう? 女三人集まってう〇この話で盛り上がってしまったら読者さん離れが加速するわ」


「同感リキ!! これからはう〇こ禁止令を発令するでリキ!!!」

それだと排便自体を禁止する事になるのだが……正確にはう〇こ発言禁止令であろう。


「ねえ布団は? もう眠る。ある程度まとまったと思うけど、まだ犯人が思い付かないし……明日起きてすっきりしている時に閃くかも」 


「そうーリ。朝は頭が冴える時間ーリ。ゆっくり休めば良いーリ。今日は色々な事が立て続けに起こったから疲れておるだろうし……布団はあの本棚の中にあるーリ。さっき教えた筈ーリ?」


「あっそうだったwじゃあ取ってきまーす」(これでネクロノミコンはバレずに返せるわ……)

タタタタタ

ばれないように戻す。


「取って来たよ。でも固い布団ねえ」

ごそごそ


「我慢してーリ」


「ねえメデューリちゃん! いつものあれお願いリキ!!」


「いつものあれ?」


「ワシの朗読を聞きながら眠りたいのだーリ。いつまでも子供みたいーリ!」


「いいんだリキ!!」


「でも、殺人が起こったばかりーリ? とりあえず今は刑事さんに任せて体を休める事を優先するーリ」


「だからこそリキィ。心細いリキ……」


「ダメーリ」


「やだやだやだやだリキ!」


「大人になりなさいリキちゃんwしかし、本に囲まれて寝るのって初めてかも♡貴重な体験♡」

布団に包まれ満面の笑顔のアリサ。


「ワシは毎日で飽き飽き―リ」


「明日はどこから調べようかしら? ……ウトウト」


「まだ寝ちゃダメリキ! 誘惑魔法!」


「ちょっと待つーリ。何でそんなの掛けるーリ? 止めんかーリ」


「だってアリリちゃん女の子なのに効くんだもん。


「リキュバスお姉たまー」


って言ってにじり寄って来て面白かったんだリキ!」


「何やってんの? 目が冴えちゃったじゃない?」


「今アリリちゃんに誘惑魔法を掛けようとして怒られたリキ!」


「意味の無い事しないの!」


「だって楽しいんだリ……あれ? そういえばあの時……」


「あの時って?」


「みんなに初めて誘惑呪文を掛けた時の話なんだけど、アリリちゃんに効いていた事に驚いて霞んじゃったんだリキ……でももう一つ気になった事があったんだリキ」


「何?」


「ぼそぼそ」

何かを耳打ちするリキュバス。


「え? 何でだろう? 実は女の子だった?」


「ニカカカカカカw」


「え?」


「ヒイヒイリキw」


「リキュバスさんって変な笑い方なのねw でも流石に在り得ないか……」


「当たり前リキw想像したらお腹痛いリキw」


「まあ鈍感っぽかったから効かなかったのかもね? でも何で耳打ちしたの?」


「それは読者さんにはこの会話の流れから何の事を言っているか推理して欲しいと考えたからだリキ!」

わーリキュバスちゃん? 第4の壁を破るような事をしちゃだめだよ。


「メッター! メタ過ぎるよリッキー! で、でもそうよね。甘やかしてばかりじゃね……時には厳しくしないといけないもんねえ」

一体何の話をしていたのだ? 気になるゥ。


「じゃあもう寝ましょう。ふぁーあ……」


「えいリキ!」

ポイッ ぱさっ

リキュバスは軽い本を本棚から取り出し、アリサに投げつける。痛くはないが顔面にヒットする。


「痛い! 何すんのよ!!!!」

ポイッ ぱさっ!

投げてきた本を投げ返す。これでは修学旅行での枕投げのノリであるな……一応殺人事件が起こった直後であるぞ? 緊張感が足りないな……


「こらこら、本をそんな使い方しては駄目ーリ」


「だってえぇ。それに、メデュさんには言われたくないよ? だって昔、本で子供を殺したんでしょ?」」


「うっ……それを言われると……てか半殺しーリ! でも今はやってないし、自分の部屋の本棚の大切な本を投げているのを黙って見ていられないーリ?」


「えっどういう事リキ? 半殺し? お酒の名前かリキ?」


「それは鬼殺しでしょ? 教えてあげない」


「気になるリキ!!!!!! あっ! 隙あリキ!!」

ぽーい バサッ


「いて! こんのおー! しかもまた語尾略をして! ルールを何度も破るんじゃない!」

ぽーい!


「アリサ! 止めんか!!!!!!」 


「ひー! 何で私だけ? でも怒ると怖ーいww」


「いい加減にするーリ! 本が可哀想-リ」


「アリリちゃんは駄目な子リキ!! メデュさんもっと言うリキ!」


「うるさいなあ、もう!」


「取り合えず子供みたいな事は止めるーリ!」


「わかったよー。でも、思い出して? リキュバッさんが先に仕掛て……き……え?」


「え? どうしたーリ?」


「メデューリさん? さっきの、もう一度言ってくれない?」


「え? さっきの? ええと、取り合えず子供みたいな事は止めるーリ?」


「違う!! もっと前!!!」


「え、もっと前? いい加減にするーリ! 本が可哀想ーリ?」


「もっと前!!!!」


「え、えっと……自分の部屋の本棚の大切な本を投げているのを黙って見ていられないーり?」


「それじゃない! 過ぎた!」


「では……アリサ! 止めんか!!!!!! かーリ?」


「メデューリさん! アリサじゃなくてアリリだリキ!!」


「あれ? ついうっかりーリ……」

ピキーン

アリサの脳裏に何かが思い浮かぶ!


「あ、あ……わ、私、犯人が……犯人が……犯人が誰か分かっ……ちゃっ……」

ボロボロ

言い終わるか同時かに、頬を涙が伝う。


「きゃあああああ! アリリちゃんが泣いてるリキ!!!!!! 悪魔の目にも涙リキ!!!!!!!!! 死神の目にも涙リキいいいい!!!!!!!!!」

じたばたじたばた

うむ、正しい表現である。


「これ! リキュバス!! からかうでない! この表情……今アリリは本気で……」


「え……本当リキ?」


「アリリしっかりするーリ! どうしたーリ」


「ぐすっ、ぐすっ」

タオルーズの2枚組のタオルで交互に涙を拭うが、止まる気配はない。


「落ち着くーリ? 何があったーリ? まさか? ワシが強く言い過ぎたのかーリ? もしかして全力で怒鳴ってしまったかもしれないーリ……ごめんーリ」


「ち、違うの……謝る必要なんてない……全然違う……だ、だってあの時……間違いなかった……この私が間違える筈ない!! じ、じゃあ、あの時も、あの時も、そうだ……あの時も、あの時だって……


【全部……分かって……いた、んだ……】


……信じ、られない……グスッ……もっと……早く……気付くべきだった……そうよ……今日の朝、あの瞬間に気付いてもおかしくなかったのに……バカ過ぎるよ……私……何で、あんな、不自然な状況だったのに……そんな事すら一切疑問に感じずにいられたのよ!! あんな事に気付けないなんて……ぐすっ……これじゃあ神名探偵……失格だ……」

アリサ? お主、いつの間に神名探偵になっていたのだ? まあいい。そしてアリサは膝から崩れ落ちる。


「急に膝から崩れ落ちてどうしたんだリキ? 何が不自然リキ? 今のアリリちゃんが一番不自然リキ!!」


「あれとかあれとかじゃ良く分からないーリ」


「な、な」


「なーリ?」


「謎は……アレ以外……解けた!」

ズコー


「ちょっと! ここは全て解けたと言って欲しいリキ!」


「そうじゃ! 何でアレ以外なんて気弱な事を言うんだーリ! 思わず昭和風のズッコケをしてしまったーリ」


「懐かしい……丁度昨日の今頃だったかしら? ママと照代さんにも同じ様な事を言われたの思い出したわw照代さん生きてるかなあ?」


「どういう事リキ?」


「照代さん毒飲んじゃってね」


「ひええリキ」


「それはお気の毒ーリって……昨日の今頃も?」 


「グスッ そうね」


「昨日も何か謎が発生していて、その謎の真相をアリリちゃんが思い付いて、同じやり取りをしたのーリ?」 


「そうね」


「凄いーリ。名探偵だーリ」


「まあね……ちょっと違うけど……」


「何がーリ?」


「正式には神名探偵よ」


「何だそれはーリ! でも冗談を言えるまで落ち着いたーリ?」


「うん……てか冗談じゃなくて本気だけどね。そういや今回も女3人集まった時に閃いたみたい。偶然だとは思うけど……でも、こんなの、思い付きたくなかった……」


「でもその、分からなかった【アレ】ってのは何リキ?」


「それは皆が揃った所で説明するよ」


「焦らされるのはムズムズするリキ」


「焦らされるのはムズムズするーリ」


「我慢して! じゃあみんなを市田さんの部屋に集めましょう。眠いけど眠っている暇なんかない。でも……ここまで分かっても犯人が何に対して恨みがあるのかまでは分からない……このまま放っておいたらまた次の殺人が起こるかもしれない……急がなきゃ」


「リキ!!!」


「分かったーリ!」

リキュバスは2階の、メデューリは3階のメンバーを呼びに走る。


ーーーーーーーーーーーーー市田の部屋ーーーーーーーーーーーーーー


「集まったわね?」


「もう深夜3時ですよ? 流石に意識が……眠い……」

竜牙が情けない声を上げる。


「眠いのは誰もが同じよ。我慢して? あっそうだ、フンガー! 皆にコーヒー出してあげてー」


「フンガーフフ!」

ダダダダダダダダ

迅速に自室に走るフンガー

ーーーーーーーーーーーーー5分後ーーーーーーーーーーーーーー

「フガフフ! ふーふー」

全力疾走した様で疲れながらも人数分のコーヒーを乗せたお盆を器用に運び、市田の机に置く。

コトコト


「いい匂いリキ!」

ゴクゴク


「おおこれは良いコーヒーだニイ」

ゴクゴク


「いつも済まないーリ」

ゴクゴク


「美味しい……みんなもこれで睡魔に勝てそうよね?」


「ふぁ~~い」

欠伸混じりのでの返事。


「あっ! 刑事さん 気合足りてないよ? もう一杯飲む?」


「仕方ないですよ……ここまで眠ければそんなのほぼ効果なんてないですよお……今にも夢の世界へ……フラフラ……ZZZ……」

竜牙は立ったまま、そして目を開けた状態で眠ってしまった?


「すううううううう……お米食べなさーい!!!!!!」

ビクッ


「急に何だドフ?」


「うっ? うわああああああああああああ!!」

ピョーン


「急に叫ばないでリキ! それにお米ならさっき散々食べたリキ」


「こういう定型文なの。そこはごめん。でもこの超有名な炎ワードを知らないという事は、修ちゃんのファンはここにはいないようね? わかった。じゃあ私がしっかりと布教していかないとね。全員修ちゃんのファンにしてやるんだからね?」

今は堪えるのだアリサよ。


「驚いたニイ。でも目が冴えたかも知れないニイ」


「私、これが一番声に力が入る言葉なのよねー。これでみんなに喝を入れたのよ」


「俺、コーヒーでも駄目だったのに今の叫び声で目が冴えて来たカニ。すごいカニ!」


「確かに……うおおおおお! 後数時間だけなら耐えられそうです!」


「ふふん! 修ちゃんは万能なのよ! 良かった! じゃあ行くよ!」


「了解ドフ」


「分かったーリ」


「で、何の用でここに? 出来れば手短にお願いしたいでチュウ。一時的に気合で目が覚めても、本来はみんな眠い筈ピカ」


「この中に、犯人がいる。市田さんをある方法で殺害した人物がね!」


「本当かニイ? じ、じゃあまさか死体の場所も分かったのニイ?」


「それは分からない。でも、これから指名した犯人がその場所を教えてくれる筈よ」


「で、誰なんですか? その犯人と言うのは?」


「その前に竜牙さんは知らないけど、リキュバスさんが2回目の夕食の時、悪戯で部屋を暗くした時あったわね?」


「はいチュウ」


「あの時にきっかけを与えられた。気付きのピースをね……」


「成程ーリ」


「で、さっき寝室 、(呪術図書館)で、楽しくリキュバスさんと枕投げ、 (本投げ)をしているその時、閃いてしまった……信じられない事実を……」


「あの時泣いていたリキ? その事実を知って泣いたリキ?」


「泣いてなんかないよ。そうだよね?」

    

                   <余> <計>

「ヒィ……そ、そうだね……」

あまりの恐ろしい目力に語尾を忘れ、俯くリキュバス。


「フンガーフフ?」


「一体何を閃いたんだーリ? ワシも近くにいたのに全く分からんーリ」


「私もさっぱりです」


「真犯人は間違いなくこの中にいる」


「ええ? ま、まさかそんな」


「誰なんだピカ?」


「それはねえ……次回に、続くのよおおおおおお!」

ズコー

次回より解答編です。ここまでで誰が犯人か分かりましたか? もし分からなければ今回はアリサが読みかえす部分に関するヒントを言っているので、そこを読むのもいいと思います。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

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