現在、私たちはアルフヘイムの大森林の聖域であると思われる中心部に向かって飛んでいる。
その際に複数の亜人種の村を発見したが、上空からでも家がボロボロでどこかしこもゴーストタウンにしか見えなかった。
「 優音、初飛行成功だな。これなら魔物に注意しなくても大丈夫そうだな。ただなぁ… 」
( 妹に抱っこされながらの移動は検討しなくきゃな。でも、背中に乗せてもらうのもなぁ… これは神として見られないのでは? )
「 うん、私も初めて空を飛んで無事についたから少し自信がついたよ。ありがとう。お姉ちゃん
聖域はまだなの? シグマさん 」
( 抱っこされるお姉ちゃん 可愛かったな。小さい頃に私が抱っこされていたけどこんな感じだったのかな? )
『 もうすぐ アルフヘイム大森林の中心部に入ります。ここら辺りは4000年以上前までアルツハイムという主要都市で亜人種と人間種が共存していたようです。』
( 複数の生命体がこちらへと向かって来てるようです。どこかで聖域の侵入者を探知する結界に引っ掛かったんでしょう。それにあのエルフ族は気が付いていないんでしょうか? あのサードニクスアント400匹がいることに。)
「 ねぇ、お姉ちゃん あのエルフ族の人達を見殺しにはしなよね? 」
( この速さなら振り切れるだろうが… 助けて恩を売るのもいいかもしれん。それにエルフ族や他の種族間とも対立するのは出来るだけ避けておきたい。)
「 見捨てる訳なかろう? 余を誰だと思っている。にひ 」
( 了解致しました。それにしてもエルフ族の皆様は後方確認しないのでしょうか? 真後ろにサードニクスアントが居るというのに あのままでは… )
「 了解です。大蛇様 では、サードニクスアント400匹が来るところまで向かいましょうか? 」
( だろうな。それにあいつらはエルフや精霊を捕食することで魔力を得ている魔物だ。 多分、あいつら魔法を使って認識をぼやかしているだろうからな。)
『 告 別個体のサードニクスアント800匹が前方に出現 こちらが本隊かと思われます。』
( あぁ、ヘビの特有の能力である熱探知でこちらも捉えた。どうやらエルフ族の追い込み漁をしているようだ。ここら周辺には推定4000匹はいる。)
「 どうしますか? 我々はともかくあのエルフ族の人達、いずれ捕食されると思われますが… 」
( 4000匹もいるっということは巣が近いか巣につながる穴があると見て動いた方がよろしいかと。)
「 あぁ、そうだな。 余が4000匹全て 捕食者の能力を使って捕食する間、あの愚か者共を眠らせてすぐ近くにあるエルフ族の村へと避難しろ。いいな。」
( シグマさん 捕食者って? )
「 了解致しました。大蛇様、ご武運を… 」
( はい、音春様の能力です。捕食者には吸収、保管、解析、擬態、複製、創成の6つに分類され、ヘビの捕食の特性が反映されたものかと。あと、優音様の能力は付与と悪意の裁き、忠誠心などですね。)
「 なるほど それはそれとしても私たちを追って来たエルフ族のおバカさんたちはどこにいるかな。」
( さっさっと探し出さないと木の枝から弓矢を撃ってくる可能性が高い。その音で寄っていくかもしれん。すぐにエルフたちを眠らせるなどするんだ。)
『 告 複数の生命体反応が左手に15名を確認 狙撃体制に入った模様ですが羽に当たったとしても傷がつくことはないので安心してください。』
( うん、わかった。狙撃体制に入っているならなんらかのアクションをとるはず… お姉ちゃん )
「 侵入者め。撃ち落とせ。一斉掃射用意!! 放て!! 」
( おそらく、木の枝や木の中から撃ってくると思う。十分に気を付けること。)
「 了解。いきなり、矢を撃ってくるとはホント 無礼な人たちですね。じゃあ、お返しに状態異常付与 麻痺してあげますよ。ふぅー 」
優音の能力状態異常付与の効果によって完全に痺れて動けなくなったエルフたちは木の枝から自然落下していく。
( うわぁぁぁ。落ちるぅぅぅ。このままでは… 風の精霊よ、我が身を包み 浮かせ 風魔法魔法 浮遊 手が開けない… ダメだ。死ぬ。)
エルフたちが目を開けると綺麗な羽を生やし高速で飛ぶ女の人の背中の上に重なるよう乗っていた。
「 ギリギリセーフかな? みんな大人しいからすんなりと回収出来たよ。さてっとエルフ族の村はどこかな。ぼうやたち 」
( ここの近くには湖があります。おおよそ2キロで5分程 時間はかかりますが音春様も向かわれる場所です。)
一方、サードニクスアントから放たれる毒属性 魔法硬毒針を同士撃ちさせながら
能力の捕食者によって捕食されていった。
案の定、巣穴があり、そこの女王アリと幼虫なども吸い尽くした。
「 サードニクスアント4000匹か。あっけも無く終わってしまったな。さて、新しい能力はなんだろうか? まぁ、分析が終わるまで待ったないといけないからさっさっと優音と合流するか。」
「 おい、そこの幼女 お前、何者だ。単身でサードニクスアントの巣を全滅させた事といい、エルフ族の聖域に踏み込んでること聞かせて貰おうか。」
( シグマ あれがドライアドか? 見るからに私より歳下だよな? )
「 いきなり、お前呼ばわりとは無礼な奴だな。女の子に向かって… 余を誰だと思っている。蛇神大蛇だぞ。 」
( はい、ドライアドの容姿は基本、若い男女に見えるそうで外の時間とは関係なくドライアドが形成した空間 幻想の彼方は時間がゆっくりと進み、たった2日間いただけでも200年から300年経つこともあるようです。ですが、大蛇様には効果は無いと思われます。)
「 ドライアド様、そいつが侵入者ですか? あっしらには幼女にしか見えませんが… 」
( へぇー やはりドワーフ族もこの辺りに村作ってるようだ。ドライアドの護衛はここの森にいるエルフ族やドワーフ族、ゴブリン族などがいるのか。
アルフヘイムの大森林をこのまま国家にしないのももったいない気がしてきたな。 )
「 僕にも分からない。だが、森の魔物である鉱甲蟲 の巣穴を何回にも渡り壊滅させていることは紛れもない事実だ。」
( お姉ちゃん、こっちはもう少しでエルフ族の村に着くよ。どうするの? )
「 流石、森の管理者であるドライアドだ。この森全体の情報はある程度入ってきているんだろう? じゃあ、余の臣下である天使がエルフ族の子供たちを助けていることも入らない訳じゃないよな? さて、どちらか選べ。我らと敵対するか… それとも臣下となり国を造りを手伝うか。」
( クソっ!! 敵対すればこのアルフヘイムの大森林にいるすべての種族が死ぬか人間種の奴隷にされる。逆に臣下になればあいつの奴隷ではないか… どちらを選択しても賭けになる。どうすればいいんだ。 )
するとドワーフ族の族長らしき年老いた人が現れ、ドライアドに話しかける。
「 そこまで悩む必要などあるんですかな。ドライアド様 」
( あのおじいさん、ドライアドが来る前から居てたんだが… あのドライアド 本当に大丈夫かなのか? あれで… よくこの森もったな おい!! )
「 ドヴェルグ最長老殿、何故ここにおられるのですか!! 侵入者の排除はドライアド族とエルフ族、ゴブリン族の役目 貴方様が出てくるような場面では… 」
( なるほど、ドヴェルグが実質的にここの森を統治することで人間族とのいざこざが起こらないようにまとめあげているというのか。面白い展開になってきた。 )
「 ドヴェルグ そこのドライアドは余をまだ蛇神 大蛇だとは信じていないようだが? どうなっているんだ。お前がここの実質的統治をしているとはな。」
( お姉ちゃん、私たちエルフの村に着いたよ。家はただ木の枝をテント状にしてダークフェンリルの毛皮で覆う感じの家。でも、結構ボロボロであんまりいい暮らしが出来てると思えない。もしかしたら… )
「 そうでしょうな。見た目は亜人種の幼女 でも、隠しきれていないその魔源の色からして間違えなく蛇神 大蛇様ですよ。」
( 間違えなく生活環境が整えられていない証拠だな。まぁ、私がここに国を造って生活環境から経済活動、宗教などを全て整えればいいっていうことだ。 )
「 そんなバカな!! こんなチビがこの世界の創造神なんて… 」
膝から崩れ落ちるドライアド その隣でドワーフ族の人達は驚きもせずに仲間内でわいわい話っていた。
( なるほど。国を建国し、統治することでこの世界の闇を探ろうとなされていますね。 )
「 まさかだとは思ったがドヴェルグ様が言ったことは本当だったとはな。この森全体のことはどこまで知っています? 」
( あぁ、国の建国はすぐにバレることも無く行い、種族間は繋がっているから多民族国家を形成しても統治はしやすいとみている。)
「 うーん、そこまで奥に入ったことは無いぞ。だから、ここら辺と自分たちが居たところは一通り見たというべきかな。てか、あいつ、いつまで寝てるんだよ。」
( 流石、お姉ちゃんだね。統治はお姉ちゃんに任せて 私は軍隊の育成でも行おうかな。)
「 おーい、ドライアド様 起きてください。ショック死したのだろうか。全く動かない気がするは俺だけですかね。」
( その前にショック死しかけているドライアドを治すか。全く手間がかかる奴だな。 )
ドワーフ族のみんなで音春の膝に頭を乗せ、近くから見守りつつ、音春が聖属性魔法を使い、治療を行った。
「 私もさんざん言ったのに 仕方がない奴だな。聖属性魔法癒しの光 これで一応、目を醒ますはずだけど 疲れが溜まっていたのもあるようだな。」
( お姉ちゃんの柔肌に誰か乗せてるよね? そのドライアド 男? 女? )
「 わしも驚いたぐらいだからこの話は別の機会にでもするかのう。エルフ族の村にミカエル様が待っておられる。その方に聞いてみるといいかもしれんが、怒らせん方がえぇぞ。」
( ドライアドって中性か女性か男性か 見分けつかないんだよね。シグマ、こいつの性別は? )
『 解 性別は男性と推定され、音春様、男の初めての膝枕になります。これは一大事かと。』
( 優音、病人だから怒らないであげて 死にかけてたし。 )
「 マジ いいなぁ、膝枕して貰いたいよな。でも、奥さんに殺されるからやめとく。俺たちは家の中から見てるから。 」
( 大丈夫、怒らないから ただし、私にもやってね。私だってまだまだやってほしいもん。)
「 そういえば、この子って名前なんて言うの? ねぇ、ねぇってば。ムゥー 」
少し膨れっ面でいると今まで寝ていたはずのドライアドがムックっと起き上がってきた。
( 分かってるよ。甘えん坊の優音 もう少ししたら行くから。 )
「 プルケル・フォルティス これでも2000歳 ドライアドの中ではまだまだ若造らしいが… すまなかったな。面倒掛けて… 」
「 はいはい、病人は寝てな。ここら辺には魔物が近づいて来ないようにしてあるから。」
( 病人の名前が分かった。プルケル・フォルティスだそうだ。 )
「 この森の魔物の気配がしないとはな。どういうことだ? 」
( へぇー そういう名前なのか 私のお姉ちゃんの柔肌を堪能しているのは )
「 気にするな。また、ショック死しかけるぞ。それにもう気付いているだろう? 」
( 落ち着いてください。優音様、相手は病人です。いつでもショック死させられます。 )
「 うん、なんとなくプニプニしているとは思ったけど僕、もしかして膝枕されてい…る? 」
「 一応、聖属性魔法を使い、治療を行う前からずーっと膝枕してたんだけど プルケルくんがスヤスヤっと寝てたから動けないし足痺れちゃった。」
( 完全に色気が出ているように見える? 襲ってもシグマなんとかしてよ。)
「 大丈夫か? 本当にごめん。」
動こうとするプルケルを抑えて、そのまま膝枕続行である。もう少し、様子を見てゆっくりと立ち上がらせる計画である。
「 急に起き上がったらダメだぞ。痺れるけど我慢してあげてるんだから。ね? 」
「 分かったからそんなに強く押すなよな。胸に当たるだろうが… 」
声が小さくなるプルケルと何が当たっているのか分かっていない音春である。
「 何が当たるのかは分からんけど… まだ、動く出ない。もうしばらく様子見だよ。」
それからかれこれ20分間も膝枕をした音春は少し休憩をしてから優音がいるエルフの村へと向かうことにした。
一方のプルケルはすっかりっと元気になってすぐにドワーフ族の最長老であるドヴェルグに呼ばれて向かっていた。
「 ありがとな。看病してくれて 嬉しかった。じゃあ 」
( さて、私も優音のところに向かうとしますか。少し痺れは残ってるけどこれぐらいなら行けそうだ。)
音春はエルフ族の村で待つ優音の場所へと向かうこと10分ぐらいで目的地であるノワの村に到着した。
『 優音様、音春様がご到着する予定になります。少々、お疲れ気味のようです。 子供たちの元気なところを見せてあげれば少しは疲れの癒しになれるはずですよ。』
( もう着く。今日一日 なんか疲れたような気がする。ふわぁぁぁ ウトウトして来た。 )
「 分かった。お姉ちゃんにエルフ村に着くまでの話を聞いてもらいたいけどあまり無理言うと体に響くからゆっくりとお出迎えだけしようね。」
( もうじき、お姉ちゃんも着くのか。この子たちに会えば少しでも元気をもらえるはずだからね。ね? シグマ )
「 はーい!! ミカエルお姉ちゃん 」
( ミカエルお姉ちゃんのお姉ちゃんならすごく綺麗な女の子なんだろうな。 ワクワク )
『 告 音春様、お疲れ様です。あのドライアドとは何か話しましたか? 』
「 あぁ、ありがとう。いや、ケルプルならドヴェルグに呼ばれてどこかに向かっていったから 我らの提案を飲むか敵対するのか まだ読めんが敵対するとなれば相当な覚悟が必要にはなるだろう。そういえばミカエルはどこにいるんだ? 」
( 結構、綺麗なお姉さんだ。でも、子供のような姿をしている。凄い!! )
「 ここだよ。まぁ、エルフ族の子供たちがお出迎えしたいっていうからね。どう可愛いでしょ? にひ 」
( めちゃくちゃかわいいな。ドワーフ族の村にも子供居たのかな? 見分けがつかないのが難点だな。)
「 うん、かわいい子たちだ。この子たちがミカエルが助けた子供かな。」
( エルフ族の族長であるアールヴさんは私たちを受け入れるらしいよ。元々、エルフ族やドライアド族などはモルキア聖教とは対立する祖霊信仰だそうだよ。 )
「 ううん、違うよ。僕たちはミカエルお姉ちゃんに助けてもらったお兄ちゃんたちの兄妹だよ。」
( なるほど。だから、エルフ族は奴隷に… )
「 そうなんだね。族長のもとに案内して貰えるかな? 」
( こんな子供も奴隷にしてしまうだろうでしょうね。何故、人間族はどんな世界でも同じこと繰り返し、人でも自然でも傷つけ当たり前のように壊すのでしょうか? )
「 うん、いいよ。お姉ちゃんたち エルフ族の族長様は大蛇様の復活を待ち望んでいたみたいだから早く合わせてあげたい!!」
( 何ででしょうかね。小さい頃、お姉ちゃんに聞いてみたことがあって人は何故同じ過ちを繰り返すの?って そしたらお姉ちゃんがこう言ったんだ。)
「 人間は過ちを繰り返してるなんて認識をしてないから忘れて同じことを何回でも繰り返し行うんだよ。それに…… 」
その後、なんて言ったんだろう? 思い出せないな。
「 あらら 僕は疑われてるのかな。優音 それとも変態族長のアールヴは僕の胸をそのまんま見てるつもりなのかな? 」
( この変態さ加減はエルフ族族長であり、ノワの村村長のアールヴか? そこまで人の胸を見るのか… )
「 あれー? おかしいな。バレないと思ったのにな。流石、大蛇様であられる。」
( いえ、この変態村長が変なだけですし、本人、気が付いてないと思ってるようです。男によくあるバレぬように胸を見てしまう行為ですよ。)
「 馬鹿者、そんなに凝視してたら気付くだろ。全く失礼な族長だな。」
( なるほど。通りでドワーフ族にくれぐれも注意するように言われたんだな。村長は変態だからあんまりかかわらない方がいいって )
ここから始まる国家造り そして、シグマと私と優音の異世界ライフはほのぼの始まった。
※余談ですが、ラテン語で美しいを意味するプルケルと勇敢を意味するフォルティスを苗字と名前にしました。
ドヴェルグは闇の妖精です。
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