目を覚ませば、そこは大きな洞窟の突き当り
足元には数多の白骨化した死体が転がっている部屋に来た
こいつらは元のここの住民に殺されたものたちなのだろうか
はたまた今もこのあたりに住んでいるのだろうか
やはり俺はとんでもない場所に来てしまったらしい
「とりあえず、落ち着ける場所を作らないとな」
そう独り言をぽつりと言い、黙々と足元の骨を一か所に集めていく
自分でも不思議なことに感情が薄れていくのがわかる
普通白骨死体なんて見たら発狂ものであるが、人生への諦めゆえ、もうどうでもよかった
1万年なんて途方もない年数考えていても無駄である
それよりいち早くここの全容をつかまなければと思った
「よし、こんなもんでいいだろう」
地面が見えないほどに散らばっていた骨も6畳ほどのスペースには全くなく、そこだけ洞窟のごつごつとした地面が見えていた
ついでに死体の近くにあった遺品だろう、錆びた剣やペンダントなども一か所に集めておいた
もう一つ分かったこととして、どうやらここにいる間はおなかがすかないらしい
体感ではあるが、もう3時間ほど作業しているのだが、全くと言ってもいいほど空腹感もない
それは近くに骨が落ちているからということも原因しているのかもしれないとも思ったが、不思議と感覚的におなかがすかないとわかる
でも、睡眠欲はあるようで眠くなったので、先ほどきれいにした場所に横になった
ごつごつとしているため、寝心地は全くと言ってもいいほど感じなかったが、自分の予想以上につかれていたのだろう、すぐに寝てしまった
≪〈環境適正Lv.1〉〈精神の種〉〈ダンジョン内適性Ex〉を獲得しました≫
目が覚めたら、そこは知らない場所であった
嘘である
意識が覚醒していくにつれて自分の置かれた立場を思い出していく
眠りに落ちる直前、これ、起きたら体バキバキになっているだろうな、なんて思っていたがどうだろうか
最上級のベッドで寝た…というほど体の調子が良かったわけではないが、明らかに体の調子がいい
何か夢の中で言われたような気もしたが、そのせいなのだろうか
とりあえず、今日は周りを歩いてみようと思う
監獄というくらいなのだから、檻とか柵とか何かあるのかな、階層制であるといっていたから、階段でもあるのだろうか、なんて思いながら突き当りとは逆に歩く
100mくらい歩いたところで上へあがる階段が見つかった
そこにあったものは、ある意味想像できたものであったのかもしれない
そこにいたのは階層主、いわゆるボスであった
その姿を見てからというもの、足の震えが止まらない
龍の体に神の翼、悪魔の角に天使の輪っか
どうだ!これが俺の考えた最強の生物だぜ!と言わんばかりの姿である
だが、そこから伺い知れる力は圧倒的上位種
自分がなんて小さな人間であったのか
自分がなんて恵まれた場所にいたのか
そんなことを勝手に考えさせてくる
ここにはまだ来てはいけない、本能がそう言っている
だが、これで自分はいいのだろうか、ここで1万年うずくまって過ごすのだろうか
否、そんな退屈な生活耐えられるはずがない
幸いにして家事の必要もなければ、食事の必要もない
唯一睡眠の必要はあるが、なぜか快適に寝られる
勉強道具などはないが1万年もあるのだ、どうにかなるだろう
この監獄に来て2日、これからどうしようかと途方に暮れていたが、早いうちに目標が決まってよかった
1万年後にどうやって出されるのかもわからない
あのボスを倒し、俺はここから脱獄する
そうと決まれば早いうちに行動を開始した方がよい
自重トレーニングで体力は作れる
戦闘機能をどうしようか
スクワットをしながら思考を加速させていくのであった
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