ゲーム依存症は罪ですか?

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第一話 署名を制する者は日常を制す①

公開日時: 2021年12月17日(金) 12:09
更新日時: 2021年12月17日(金) 22:34
文字数:1,178




何気なくテレビをつけて朝の情報番組を聞き流しながら出勤、あるいは登校の準備をしていると


時々


とんでもないニュースが飛び込んでくることがある


自分の知らないところで実は大変なことになっていたんだなと思い知る


日常が壊れて無くなった時


日常を日常たらしめていた物が何なのかを痛感する


日常は勝手には壊れない


壊れるには必ず何か原因がある


ならば


日常を破壊した犯人を突き止め


責任を問う必要がある











久々に負けて


席を立たないといけない瞬間はやっぱり思い出す。


子供ん頃母ちゃんの運転で毎日ゲーセンに通ったこと


夜になるまでオレがやめなくてもずっと後ろで見ててくれたこと


母ちゃんが途中仕事で帰らなきゃならない時はゲーセンで知り合った変な姉ちゃんがオレを監視してたこと


そして


アイツに勝てなかったこと。


アイツの波動拳は誰よりも卑劣で


誰よりも美しくて


何者も寄せ付けなかった


あんな波動を撃つヤツは世界で一人だけだ。


あの頃と比べれてオレは格ゲーではもうほとんど誰にも負けなくなった


こうやって新キャラが出たらたまーに分からん殺しされて負けるしか負け方がない


イスから立ち上がってゲーム画面から放たれる光から少し離れてみると


店の中の薄暗さを再認識する


もう夜も夜だが、だから暗いというよりかは


この空間だけ世界が違う


この薄闇の中でだけはオレが一番だ


学校生活のことは知らん。


オレが学生であることは最早オレには関係ないのかもしれない。


今オレと交代してプレイしてるヤツが


オレが負けたこの新キャラにどう対応するのか見たいのに


このフロアの端の方に置かれた古いゲームから漏れ出るキャラボイスやゲーム音が邪魔してくる


懐かしい騒音ほど深く眠っている思い出を掘り返そうとしてくる


アイツはもう


格ゲー辞めたんかねぇ。









桜がボロボロと舞い落ちる中で浮かれた学生が二人乗りをしている


登校途中のその学生達は自分をゆっくり追い越して段々と遠くなっていく


その背中に問いただしてみた


君たちは何をしに学校に行くのかと。


返答がないまま二人を乗せたはしゃいだチャリは小さくなっていく


そうなると今度は自分にも問いたくなる


何が楽しくて一年も学校に通ったのか。


自分でも説明がつかない


嫌でもないし楽しいわけでもない。


授業中だろうが休み時間だろうが


オレには関係のないことがオレの周りで起きているってだけ


それを無視したり眺めてみたりすることで一日の大半が終わる


壮大なる時間の無駄遣いでは?


そう思いつつも習慣とは恐ろしいもので


春休みが明けたらちゃーんとまたここに来てしまっている


自分と同じ制服を着た人間が一本道にまばらに集まってくる


門に近づいてくると一層わざとらしく桜が舞っている


季節ごとに変わる色合いや匂いを感じて一瞬だけ無心になる


その感覚は嫌いじゃない


しかし季節ごとに人のはしゃぎ方が変わるのは是非とも見て見ぬフリをしたい


また、そんな一年間が始まるのか。








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