ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
sadojam

小説.22

公開日時: 2020年10月8日(木) 17:09
文字数:926

  ブルドーザーから出来る限り遠ざかる。消す人は誰もいないから火は燃え続ける。川がある方向。橋さえ渡れば火事に巻き込まれる心配はなくなるはずだ。


  なるべくゾンビの少ない場所と、ビルの中を通る。ビルの入り口から入り、裏口から出る。屋内はゾンビが少ない。


  志織は黙ったままついてくる。走りたくなる衝動を抑えながら志織のペースに合わせる。途中のオフィスビルの中に売店。飲み物を取る。レジ横売り場のスティック状のチョコを無造作にポケットに入れる。


  普通の人間も逃げ切る事は出来る。ゾンビの数が少なければ。安全なのは地面を歩かない事だ。二階や屋根、屋上を渡れるなら、落ちる心配だけでいい。

  地下鉄の入り口が視野に入る。何万人もの人間が電車を利用していた。きっと中ではゾンビだらけだろう。それに電気がつかない。暗いし、換気や排水も出来てないはず。


  レジから小銭を取ればよかった。と気付く。俺の力で十円玉を十枚ほど投げれば、かなりの威力になるはずだ。

  転がってるコンクリのカケラを拾いゾンビに投げつける。カケラはゾンビのお腹を貫通した。ゾンビはよろけたが何もなかったかのように歩き出す。俺の肩が外れた。コンクリのカケラを握り締めてた手の皮膚が破れていた。命中させるのと力加減が難しい。頭か足に当てない限りゾンビは倒れない。


  川、橋のある方向に歩く。志織が息切れ。どこかで休まないといけないがどこで休むかが問題。すぐに逃げ出せる場所。川の向こう側に辿り着いても、そこから先はどうする?


  考えるべき事が山ほどある。何も思いつかない。女の身体ではゾンビは逃げない。つまり志織は襲われる。俺にも襲ってくるだろう。ビルの一室で一夜を過ごしても出る時には囲まれる。

  電車の高架線が見えた。登れる場所を探す。あそこなら火事は煙さえ気をつければ大丈夫だし、燃える物もないはず。


  リュックが欲しい。ロープが欲しい。着る物、懐中電灯、寝袋、当面の食べ物。ナイフ。数えあげたらキリがない。全て置いて来た。手にしてるのは、望遠鏡。ベットボトル。チョコ。

ホテルから出る時に少しでも持ってくれば良かった。でもそれが原因で火事に巻き込まれたら。

  どちらが正解か分からない。必要な物はまた集めればいい。一年後は分からないが。


読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート