ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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現実.16

公開日時: 2020年10月3日(土) 19:42
文字数:933

  押し出したゾンビが見つかる。何をやってるのか覗きたいのを我慢し、やむなく志織を起こす。


  いざとなれば逃げるしかない。自転車やバイク。車の音は全く聞こえなかったので歩きと判断。志織を背負って逃げ切るのは余裕。


  怖いのは相手が飛び道具、銃や弓などを持ってた場合だ。俺は頭さえ傷つかなければまず大丈夫なのだが、背負られた志織は無防備。


「けっこういるぞ。何体必要だ?」

  ヒソヒソ声だが、聞こえる。その返事は聞こえなかったが、少なくとも2人以上はいる。


「必要ってどういう事?」

  着替え終えた志織が囁き尋ねる。俺は首を振り、二人して茂みの中にしゃがみ込む。荷物はそのまま。


  俺は人間やゾンビが発光して見える。強弱センサー。暗闇では個体の強さ弱さも発光力である程度まで分かる。この中では志織がダントツに暗い。

  ゾンビが十体も集まればかなりの明るさとなる。なるのだが逆に明る過ぎてハッキリとした人数が分からなくなる。分からなくなっても困る事はなかったのだが、今回のようにゾンビの向こう側のコンビニが暗くなり分かりにくい。


「三体分しかない」先程とは違う声。


  何をする気か?


「また来るしかない」


  覗きたくなる。だが危険は犯せない。

「よし、帰るぞ」

  声と共に気配が離れてく。数十秒待ってから、ゴミや枯れ枝を踏まないように道路が見える位置まで行き覗く。

  発光体が六体。発光加減から人間が三人にゾンビが三人と分かる。多分ゾンビは繋がれている。ゾンビをどうするのか?

  明るくなりゾンビは襲い始める。ゾンビを生きたまま捕獲し、何かの実験にするつもりなのか。こんな田舎にそんな施設があるのか?


  俺と志織が生き抜くのに関係はない。好奇心に負けて生存率を下げる必要はない。志織の所に戻る。


「分からないが、生きたまま連れ帰った。近くに人間が生活してるのは確かだな」

  ゾンビを捕獲する位の余裕があるという事は食料や病気、襲ってくるゾンビや人間への対策は出来ているという事だ。比較的安全な場所。


  また来ると言っていた。来るとしたら明日の夜だろう。夜の活動を考えると朝方から昼頃までを睡眠時間にあててると判断。


「行ってみようか」

  俺が悩んでる横で志織が言った。俺は決めた。

「とりあえず行ってみるか」

  心当たりはある。三浦家。あの地図の場所だ。


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