ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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小説.53

公開日時: 2020年11月27日(金) 08:26
文字数:1,082

  地面から俺の胸元辺りまであるハシゴにリュックを三つ縦にし結ぶ。ハシゴに紐を通し背負えるようにする。これでかなりの量を持ち運べる。


  警察署か交番で防弾製ヘルメットを探す。機動隊がかぶるヘルメット。頭さえ無事なら俺は大丈夫なはずだ。あとは電流対策。アース線を身体にまきつけるしかないが、かなり変な格好になる。そもそも滅多に電流を流されないだろう。銃や弓矢より電流の方が危険かもしれない。


  長袖の服。帽子とマスク。サングラス。ただでさえ暑くなる季節なのに、この格好はおかしい。機動隊のヘルメットなら、防護としてあり得る。剣道の面と防具を付けてた人間に出逢った事がある。ギリギリ納得出来る格好。


  当分、俺が通っていた中学校の屋上に住む事にした。風通しもよく、腐臭も屋上まで漂ってこない。

  屋上に小さな部屋がある。コンクリの照り返しで蒸し暑いが、風はよく通る。一番の利点は誰にも見られない。

  理科室に風力発電の学習道具がありそれを持ち込む。鍵をみつけるのに苦労した。水道の水はどこも出なかったが、それぞれの廊下にある消火散水栓から出る事が分かった。

  食料を集め、飲み水を溜め込む。図書室から本を集める。


  ゾンビが校舎に集まりだしたが、バリケード代わりのイスや机はたくさんある。廊下や階段には防火用のシャッターもある。

  人間対策は、駅前や学校前に立て札や張り紙をした。東京都庁に安全。物資有り。と書いた張り紙を貼りまくる。学校の手回し印刷機でのコピーだから手書きよりも信憑性は増すだろう。

  もちろん嘘だ。だがこんな世の中、誰もがワラにもすがるはず。数人でも信じてこの地区から離れてくれたら、その分俺達の危険性も下がる。


  あとは、一階へのドアを全て開け、

ゾンビを自由に入れさす。これで、よほど切羽詰まってない限り人間は入ろうとはしないだろう。


  屋上に登れる階段の下にバリケードを作った。俺は防火用の放水ロープで下の階へ登り降りした。降りるのは俺だけだし、万が一落ちても頭さえ守れば大丈夫なはず。

  志織のトイレ問題。小屋の後ろに簡易用のトイレを作った。汚物はビニール袋に入れて破棄する。そんなちゃちなトイレ。


  一日半かけて、食料はもちろん。プールや浮き輪まで集めた。学校には使えるモノがたくさんあった。カセットデッキ。工具箱。ストーブ。大量のお皿。置き忘れの服類。カーテン。カーテンは全て外した。火事の心配と、寝床の毛布代わり。ハンモックを作ってみたりもした。

  思った以上に心地良い環境。安心、安全度はかなり高くなった。暇つぶしの本もある。色々飽きたら教科書もある。あとはこれからくる夏の暑ささえ我慢すれば。


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