ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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現実.132

公開日時: 2021年4月5日(月) 21:20
文字数:890

赤色の援護に回る。銃を撃ってるポピュレーターを狙う。倒す。チェーンソーを振り回してるポピュレーターをスコープの視野に入れる。倒す。数発ごとに周りを見渡す。忙しい。銃声で右耳の聴覚が麻痺してる。

近くのコンクリに弾が当たる。狙撃されてる。他の建物の屋上をスコープで覗く。向こうのライフルの銃口が俺に向けている。俺も向こうも発砲音。向こうが崩れる。

下のコンクリが削れてく。下からマシンガン。狙い撃つ。転がり落ちたマシンガンも撃つ。マシンガンが飛び跳ねる。


鉄の箱の中に入って狙撃したい。そう思っていたが、スコープを覗いて撃っていると、何故か無敵になってる気分になる。無敵というより現実味が薄れてく。物凄くリアルなバーチャルゲームをやっている感覚。


遠くに明るい発光体。緑色。不恰好だが頑丈そうな鎧を着て手作りのオノを振り回している。鎧を着けてない足首辺りを狙う。

数発で当たり、そいつは膝をつく。途端、周りのポピュレーターが覆い被さり鎧を剥がしてく。突如、割れた水風船のようにパーティクルが地上、空中に溢れ溢れる。他の緑色の発光体が無色になる。無色に戻った事に気付いた緑発光だったポピュレーター達が逃げまどう。


弾を込めてる時に下から声がかかる。

「下の敵を倒せ」


パーティクルの回収が目的。味方のいない場所のポピュレーターを殺しても意味がない。味方を殺されないように。そして味方にパーティクルを回収させるように。


ビルの下にもかなりポピュレーターが集まっている。赤色を視算する。三十人位。変わらないが他の色のポピュレーターの方が多い。真下を覗き込みながら撃つ。

真上からの狙撃。頭か肩しか狙えない。姿勢も悪い。なかなか当たらない。

近寄ってくるポピュレーターを狙う。当たる。

次々と俺を倒しに敵が現れてくる。が、赤色の発光体も来てくれている。守りに来てくれているのか、俺というオトリが美味しいのか分からない。多分、後者だろう。


集中力が途切れてくる。下はまだ大丈夫。守りの思考が混ざる。逃げ道の再確認が多くなる。だが志織はずっと戦ってる。下の味方も戦ってる。甘えは許されない。唇を噛み締めてスコープを覗く。

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