志織の小説はそこで終わっていた。続きを読みたい。と言うと、分かった。と返事。
その間、俺は俺のやるべき事をやる。
小説を書く気は失せた。一応の締めの文章を書いて、また書きたくなったら書くつもりだ。その代わり身体を動かす。ほとんどの時間を木を登ったり、飛び移ってみたり。運動に時間を費やす。体操の選手の真似事をする。
やればやるほど慣れていく。手袋もどんどん破けていく。凍ったゾンビを食い身体を動かす。
お手本というか見本が欲しい。無い物ねだりが多くなる。
片手だけで木から木へ飛び移る事も出来た。落ちても大丈夫になった。
コツは身体のバランスと体重と衝撃の分散。
高い木から落ちる練習。落ちる途中、軽く木を掴む。肩や関節が壊れない程度に離し落ちるスピードを弱める。落ちる瞬間は木を蹴り横に転がり衝撃の分散をする。
小説ははるかに志織の方が面白かった。志織には勝てない。悔しかった。だから俺に出来るのは身体能力を最大限に活かす。人間離れした身体を乗りこなす。
それならきっと志織に負けない。
二十日くらいか。一ヶ月経った。外で運動をしてた時に志織が全て書き終わったから。と携帯電話を俺に渡してきた。
「質問は全部読み終わってからにしてね」
と言って志織は言い部屋へ戻った。
俺はホテルのロビーのイスに座り読み始めた。
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