背中にしがみついていたダビデのパペットが地面にズリ落ちた。同時に下がり続けてたダビデが反転、志織とタオに向かって走った。
タオと志織の動きが物凄く遅くなった。
今までの遅かった動きではない。もっと遅い。ダビデから流れてるパーティクルがタオと志織を覆っている。パーティクルを意識しなくても分かるくらい濃い量がダビデからタオと志織へ流れてる。
ダビデが斜めに剣を振り回す。このままだと志織の頭に当たる。俺は飛び込むように志織に近付き肩を掴み引き下げる。志織の腕と脇下が切れたが志織の頭上スレスレに剣は通った。剣はそのまま、避けようとするタオの口元へ向かっている。
俺は志織を引き下げながら後ろに避けようとしてるタオの背中を蹴り押す。
タオの口元に剣が切り裂いた。が、ダビデの動きも遅くなった。
ここで三人、元のスピードに戻る。志織と俺は共に後ろに倒れ、タオはそのまま下がり、ダビデがタオに向けて走る。タオの口元は斜めにパックリと切れて血が流れてる。
再びダビデとタオの動きが遅くなる。タオの方が遅い動き。眩しくて見えないはずのタオの目が大きく見開くのが分かる。
ダビデの見せた事のない形相。目が血走っている。歯を食いしばっている。
他のポピュレーターと違いちゃんと感情があるんだな。と俺は変な事を思った。
志織が立ち上がる。続いて俺も立ち上がる。志織の右腕は肩から無かった。
タオの動きが更に遅くなる。タオが志織を振り返り見ようとした。その顔にダビデの剣が突き刺さる。途端、タオから大量のパーティクルが溢れ出た。志織の所までパーティクルは流れた。
ダビデの笑い声が聞こえた。勝ち誇った笑いだ。途端、志織の膝が崩れた。俺は一瞬で理解した。ダビデはカーリーになったのだ。
俺は無意識に自分のコメカミに仕込んだ串を刺した。
その後の事は覚えていない。
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