回収しないポピュレーターは異質。でも強制的ではない。
「回収しないポピュレーターっているの?」
俺は聞いた。
「滅多に居ないわね」
「回収しないでいられるの?こう…回収しなかったらどこかに異常をきたすとか」
回収しないとペナルティーを食らうのか?身体や精神に異常をきたすのか?
「回収してると、それが普通で当たり前の感覚になるわ」
回収する事は相手を殺す事。
俺の存在はAZにとって悪なのかも。ふとそんな事を思った。
「AZと話しをしたんだ。AZは確実に存在する。俺には一切手を出さないと言ってた。全ては暇潰し、退屈凌ぎらしい」
ある意味、AZの手の平で踊らされている。その事は言わなかった。志織もAZの一部だからだ。
「全てのポピュレーターに繋がっている。志織にも」
AZは俺と志織の関係を楽しんでるのか?
「AZが何を考えてるのか分からないわ。でも居るのは確かよ。それだけ。それで充分よ」
考えても仕方ない。と言いたいのだろう。俺は何でも理屈で納得したくなる。
「回収したくなったら言って」
俺はそれだけ言った。志織のしたいように。俺はそばに居られるだけでいい。理想は違うが現実的にそれが一番可能な願いだ。
二人どちらかともなく崖を登る。俺は小屋の屋根に登り周りを見渡す。発光体は見当たらない。本当にやって来るのか?
俺と志織。まだ赤く発光している。ダビデはまだ健在。殺されるとは思えない。
「ダビデは仲間のパーティクルも回収するとトニが言ってた」
「多分ね。私も襲われるわ」
志織の目が下を向く。志織は、絶対回収しに来る。と確信してる。
「志織はダビデの回収出来る?」
俺は聞いてみた。殺せるか?と聞きたかったが、言えなかった。
「どちらかなら。多分」
本体とパペットの二体相手は無理という事。
「ライフルで殺せるかな?」
志織を殺しに来るなら俺はダビデを殺せる。ダビデでなくても。
「強敵相手ならきっとパーティクルで包むと思うわ」
相手のパーティクルに包み込まれると肉体と思考が停止する。その代わり使う側は桁違いのパーティクルを使う。エイやカニはそうしてカーリーの地位を不動にしている。
「志織はダビデを包み込めるの?」
「無理ね。ダビデの半分も無いもの」
「包み込まれてしまう?」
「多分ね」
俺はため息を吐いた。やはり志織はパーティクルを回収しなければならない。
AZはこのシステムをどれだけ考えて創ったのだろうか。
殺し合わなくても回収出来るはずなのに、わざわざ回収し合わせるように仕組んでる。
退屈だから。その理由だけで。人間が地球をもっと大事にしてたら、ポピュレーター同士の戦いは起きない。また袋小路に辿り着く。考えても仕方ない事。それよりも、これからどうすべきか?
「トニやパルを探しに行こうか」
俺は意見を出した。
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