「何を馬鹿な事を。その男をよこさないと本気で閉じ込めるぞ」
エイが怒りに震える。私の投げつけた疑問の答えが分からないから元の論点に戻る。予想通り。
周りを渦巻いてるパーティクルがエイに集まり出す。貯蓄するはずのパーティクルすら吸収している。地響きと共に地下が揺れる。
保存用の人間の肉体はパーティクルを吸いとられ、そのまま炭素化していく。やがて土体となるだろう。
本気で怒っているのは、本当の事を指摘され、自分でも理性がコントロール出来ない位、困惑しているからだ。
「私達と友達になりましょう。最初は戸惑う。でも時間だけはたくさんあるわ。時には怒ったり、うざかったり、恥ずかしかったり。支配した相手ではダメなのは今までやってきて分かるでしょ。操っても虚しさしか残らなかったでしょ」
畳み掛ける。
「私達にはたくさん時間があるのよ。必ず友達から家族になれるわ。信頼とか信用とか、そんな事すら考える事のない相手が欲しいのよ。もしダメなら殺すなり閉じ込めるなり好きにしたらいいじゃない。その時は素直にヒロを渡すわ。私のパーティクルも差し出すわ」
下を向きまたエイを見つめて言った。
「また今までと同じ孤独で虚しさだけの月日を過ごすつもり?」
私はもう脳からの言葉ではなく、感情からの言葉で言った。
私がそうだった。ヒロが居てヒロと過ごしてやっと解ったのだ。
独りは寂しい。虚しい。満たされない。
家族ができて初めて満たされた。という気持ちが分かるのだ。
私達は最初から独りだった。家族なんていない。AZと皆とは一つだが、一つの時には意識や感情がない。知識として一つだと理解してるだけだ。知識で心は満たされない。
「友達になろうよ。そして家族になろうよ」
私の想いを込めて言った。
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