ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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小説.31

公開日時: 2020年10月23日(金) 09:19
文字数:1,099

  寝てしまった男をそのままにし、他の部屋を調べる。二階のもう一つの倉庫には綺麗に細かく食料品が並べてあった。タオルも一枚一枚丁寧に畳んである。どれか一つでも崩すと男が怒りだしそうなほどキチンと整理されていた。銃の弾も綺麗に並べてある。暇なのか、病気なのか。きっと両者だろう。

  階段を降り一階。自家発電の機械が三台あり、一台が稼働していた。電気をつける。売り棚が全て隅っこに置かれてフロアは広い。真ん中に中古の車とバイク。農機具。どれも土一つ付いていない。まるで販売してる中古車そのもの。どれだけ綺麗好きなのか分からなかった。スパナなどの工具も綺麗で壁にかけてある。

  バイクはオフロードバイクで前後にカゴが付いていた。予備のタイヤをはめられるような加工もしてあった。車も窓ガラスには鉄網が張られていて、タイヤには隠すように鉄板が溶接してあった。トランクには大きなガソリンタンク。多分直結してるのだろう。

これをあの男が一人でやったのだろうか?信じられない。


  男の居る部屋に戻る。このまま居るべきか、外に出るべきか。志織が眠たいと言った。違う寝場所探しも一苦労だから、ここで寝る事に決めた。俺は銃を色々と調べて時間を潰す。


  六時間ほど経ち、男がガバッと起き上がり目覚めた。訳が分からない顔をしてたが、はっきりした顔に変わる。

「朝か?」俺の返事を聞く前に立ち上がり、窓を少し開け下を覗く。

「うわぁ。やる事やらずに寝てしまった」

「何をやるんですか?」俺は聞いた。

「掃除だよ。掃除。ほら、汚れてるだろ?」と窓から身体を離し、俺に覗けとジェスチャー。覗くと壁にゾンビがビッシリと張り付いている。壁が汚れてるのだが、まさかこの壁を掃除するのだろうか?


「壁ですか?」俺は聞いた。

「当たり前だろ。地面なんか掃除したらキリがない」

  当たり前のように言った。壁も同じだと俺は思うが口には出さない。


「いいモノ見たいか?」

  男はニヤリと笑う。俺はうなづく。

「静かに歩けよ。寝てるからな」

  男は志織を見ながらゆっくり歩いた。階段を降りる。

「ビックリするなよ」

  と言いながらドアを開ける。車とバイクの事だった。俺は大袈裟に褒めた。男は嬉しそうに、

「よし、お前のオモチャと交換してもいいぞ」

  と言った。

  俺の持ってるオモチャは小さなゲーム機しかない。それもシンプルな内容だし電池式。その事を男に言った。

「オモチャはオモチャだろうが」

  と男は屈託なく言う。交換成立なのか?


  志織が起きて来るまでバイクと車の改造した話を聞かされた。彼の知識は凄かった。ギア比から重量計算、エンジン構造まで。俺も知っとくべきなのだが頭に入らなかった。男の話は次々と話題が飛ぶのだ。


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