色々トニに教わりながら四人でパーティクルを回収する日々が続く。
四人と言っていいのか分からないが、はたから見れば四人の行動。志織と俺、シェーリーのトニとパペットのトニ。
ダビデは単独行動で 既に中国にいるらしい。戻ってくる。と言ってたがどうなるかは分からない。とトニは言っていた。
今までと違い、あてもなく歩き続けてはいない。パルの居場所へ向かってる。
途中、刑務所に寄る。壁際にはたくさんのゾンビ。
「なぁ、あとどれくらいで戻れる?」
トニは志織に聞いた。シェーリーになるまでの必要なパーティクルの量。
それは俺も知りたい事だった。本当に志織は人間ではないのか。
「当分、先ね」
志織は答える。
「トニはまだシェーリーじゃないの?」
俺は聞く。
「いやもうなりつつあるぞ。だがまだなりたくはないね」
そう言ってポケットからチョコのお菓子を取り出し口に入れる。
「なぁ、集めるだろ?」
トニは志織に再び聞く。この壁に群がるゾンビ共と、多分、刑務所の中にいる人間からパーティクルを回収するかを聞いている。
「中国行く?」
志織は答えずにトニに尋ねる。
「ダビデ次第だな。災害で人間達が居なければ話にならないし」
トニが答える。
「ゾンビだけ回収するワケにはいかないのかしら」
志織が小さく呟く。
「おいおいおい。人間から回収しなければいつまで経っても戻れないぞ。ずっと今のままでいるつもりなのか?」
トニは驚く。
「中にポピュレーターはいるの?」
俺は聞き、志織はうなづき言う。
「戦闘は避けるわ。行きましょう」
「おいおい。俺の話を聞いてなかったのか?ここを回収しとけよ。中のポピュレーターに気を使ってるのか?これから戦うかもしれないんだぞ」
トニの言葉に志織は首を振る。
「まさか、中の人間に気を使ってるのか?あいつらはいずれ、中の奴らに回収されちまうんだぞ」
トニは志織の態度に納得いかない。俺もトニの意見に賛成だ。まさか志織は、俺に気を使ってるのか?それとも中に子供もいるからか?
「俺は気にしないよ。同じ人間でも知り合いじゃない限り…どう…でもいい」
言いながら失敗したかもと思った。ひょっとしたら志織は俺よりも人間を大切にしてるのかもしれない。
俺は、知り合いじゃない人間は、それがたとえ赤ん坊でも子供でもどうでもいい。だが、それは実際に見てないから思える。深く考えてない。
もし俺が強くなる為に子供を殺す。恐怖に怯え泣き叫び、辞めて。と命乞いをする子供を。
考えただけでゾッとする。やはり無理だ。
死んでパーティクルの一つに戻るだけが真実だとしても。殺すのは胸が痛くなる。それに死ぬ時に痛さもあるはずだ。両親や兄弟も悲しむ。
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