ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
sadojam

現実.96

公開日時: 2021年3月3日(水) 08:31
文字数:964

俺はあいまいにうなづいて笑った。

トニは俺の安易な思い付きに気づいてた。トニは可能と思ってる。単なる思い付きの可能性が高くなる。


一年後にゾンビが消え去り審判の日。それが終わったら人間の世界に戻る。復興は早くて何年後だろうか?多分、百年も経てば元に戻るだろう。

その時、俺はどう生きればいいか?

俺とポピュレーターは人間の血と肉が必要。俺は国に俺の身体を提供する事に決めた。きっと人間は人間の為だけに都合良く俺を利用するだろう。そう俺が仕向ける。その利権で国を争わせる。

そしてまた地球の危機を起こせばいい。

歴史は繰り返してる。繰り返すはずだ。ならなかったら俺が無理やり起こす。志織がAZの元に還る前に。

そうすればAZが今回と同じ事を起こす。


役目が無ければ自分で作ればいいだけの話だ。

もちろん、それが成るか成らないかは分からない。俺は言葉に出さなかった。でもパルに気付かれたという事は志織も気付いてるはず。だが志織はそれに反対しなかった。反対しない。それで充分だ。


一日足らずで充分な食料と生活必需品をかき集めた。人数が多いと早い。


真夜中にヘリコプターを出す。海上に出て沖縄に向かう。


ずっと見たかった空からの景色。


オーロラの光で海はキラキラと反射して分かるのだが陸は恐ろしい程、暗闇だった。

そこだけ深淵。まるで切り取ったみたいに深黒の世界。灯りが一つとしてない。


本当に人類は復興出来るのか?そんな事を考えながらも真っ黒闇な景色に見入る。

少し進むと灯りがチラホラ見えたが、それは火事による火の明かりだと分かる。


復興に百年では足りないかもしれない。やはりパーティクルを回収した方がいいのではないか。


時間はたくさんある。だが答えが出なければ時間はいくらあっても無いと同じ。


ヘリコプターの灯りは最小限に消してある。だが音は鳴り響く。人間が見たら希望の音に聞こえるだろう。他のポピュレーターが聞いたらどう思うのだろう。


日本は他の国よりも危険性が低いと志織が言っていた。このまま隠れて生き延びれるのか?宮古島にはゾンビがいるのか?居ないと沖縄へ摂取しに行かないとならない。

そこまでの燃料はあるのだろうか?


あらゆる疑問が思い浮かぶ。だが全てなんとかなると思ってはいる。

志織と二人だけではない。トニとパルがいる。今までとは違いかなり楽になるのは間違いない。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート