四人プラプラと激戦区へ歩く。三人の発光で周りだけ闇夜とは思えない明るさ。
「あぁ、来たよ」
トニがウンザリした口調で伝えた。向こうから広がって見える明るい光。走って来てる。
「何人居るんだ?」
「四、五十人かな。いや、百人は居そうだな」
俺の言葉にトニが答える。俺はライフルを構えて予測して撃ちまくる。
無色かと思ったら黄色かった。
「ちょっと言いたい事があるんだが言っていいかな?」
トニが銃声の合間に言った。俺はうなづく。
「たった百人で俺達を倒せるとでも思ってるのか?」
トニはニヤケながら大声で言った。
「一度言ってみたかったんだ」
と言って刀に似た剣を抜いた。
俺は志織やトニを敵に挟むように移動しつつ、遠くから銃火器や弓矢とか飛んでくる可能性を探したり、敵の足を撃つ。太ももやスネは意味がない。膝から下だ。身体のバランスが取れなくなる。頭や腕を狙うのはトニや志織に当たる可能性がある。
絶えず味方を挟む。襲ってこられたら俺は終わりだと思ってる。
今まで何度も戦う事を想像やシミレーションをしてみたが、倒せるイメージが現実味にならない。やられるイメージなら容易に想像出来る。しかもたくさん。
命の取り合い。敵もふざけてない。なのに次々と敵だけが倒れていく。志織達は一筋すら傷は付いていない。器用に攻撃をかわし的確に殺していく。ライフルによる援護は必要ないように思える。
敵が残り一人に。その一人も逃げる事なくトニに向かってくる。トニは気負いもせず剣をかわし突き刺す。
最後の一人が倒れる。俺達は死体に囲まれる。
「また服を探さないとなぁ」
トニがいつもの口調でパルに言った。
「着替えなければいい」
パルが答える。トニは不服そうに、しゃがみ込み死体にかぶりつく。
パルも志織も血まみれ。俺だけがズボンと足元だけ血で汚れてる。トニが千切った頭部を俺めがけて振った。血しぶきが俺にかかり汚れる。
「皆で着替えようぜ」
トニの気楽さに俺は笑い、転がってる死体の首元にかじりついた。志織も摂取し始めた。俺は志織を見ないようにした。
死体を喰べる事や喰べてるのを見たりする事には全く抵抗はない。だが志織が死体を喰べるのには抵抗がある。
むしろ不自然な気すらする。
まだ硬直してない肉を喰べる。ガリッと骨を噛み砕き、肉や皮膚を噛みちぎる。口と顔を血まみれにして咀嚼する。
地面には綺麗に切断された頭から脳みそが溢れていたり、目玉が転がっていたり、膨らんでる腸がはみ出ていたり。
ここはもう人間の世界ではない。元の世界に戻れるのか?ふと思った。
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