「続きの小説が書けるね」
志織が言いながら階段への扉へ向かう。とりあえずダビデの箱へ向かうらしい。
「ねぇ。俺は本当に志織の役に立った?」
俺は一番聞きたい事を聞いた。今聞かなかったらずっと言えないかもしれない。そう思ったからだ。志織は立ち止まり、
「もちろん。最初から今までまでずっと私を助けてくれたわ」
それから志織は振り返り俺に抱きついた。
「そばにいてありがとう」
俺の胸元に顔をうずめ、くぐもった声で言った。俺も志織を抱きしめ返して、
「助けてくれてありがとう」
と言った。
「このままジャンプしない?」
このまま?と俺は聞き返す。志織はうなづきながら跳び跳ねた。俺も力を入れて跳んだ。
トニとパルを思い出す。きっと志織も思い出したに違いない。
抱きあったまま何回も跳ぶ。あまりにもバカバカしい行為で俺も志織も声を出して笑った。笑い過ぎてお腹が痛くなった気がした。
「なんでこんな事をしたいと思ったの?」
俺は笑いながら聞いた。
「分かんない。なんとなくしたくなったのよ」
志織も笑いながら答えた。
これからまだ大変な事は起こる。でも、今だけは楽しく平和で幸せだった。
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