ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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小説.7

公開日時: 2020年9月20日(日) 17:16
文字数:637

  ちょっとの力で服が破けてしまうから、かなり大きめの服を着る。動く時、筋肉の操作に意識が必要だった。大きなリュックを見つけ、そこに女の子の服を詰め込んだ。俺のはまたここに来ればいい。急いで帰らないと。


  やるべき事はまだある。


  夕方点けた車のライトが彷徨ってるゾンビを照らし出している。どのゾンビも死体を喰べてはいない。ウロウロしているだけ。

  夜は喰べないのか?襲う事はないのだろうか?分からない。

  ゾンビ達はどこに向かって歩いてるのすら分からない。法則性はないようにも思える。ただ俺が近付けば逃げていくだけだ。


  ホテルに戻り自販機をどかす。指が折れた音が聞こえた。指が四本、綺麗に曲がっていた。力を入れ過ぎたのか。自販機の重さに耐えられないのだ。無痛症という病気は知ってる。きっとこんな感じなのか。

  そう思いながら二階の防災トビラを開けた。真ん中の部屋のドアが開いていて女の子が顔を出していた。外から、車のライトで分かったのだろうか?俺は景色が灰色で分かるし、女の子が発光しているので分かった。


「お兄ちゃん?」


  ドア越しに疑問形の言葉。俺は先ほどとは違う服装。それに両手もある。

左の壁を三三七拍子の調子で叩いた。


「遅くなってごめん。声も両手も治ったみたいだ」


  先程折れたはずの指がもう治ってるのに気付く。治りが早いのにびっくりした。新しい発見が次々と見つかり、全部覚えきれるか心配になる。


  部屋に入る。リュックを渡す。次にやるのは、各部屋を見回り、ゾンビや人間が居ないかの確認と浴槽の水貯めだ。


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