「眠くはないわ」
志織の言葉でピンとくる。今すぐにここを離れるつもりだ。
「一緒にいると情が湧くから今すぐ出ようか」
俺は言った。これ以上、志織に気遣わせたくない。志織は笑ってうなずいた。逃げる準備は出来てるから。と言って志織は指差した。指した先には三つのリュック。
俺は担いで、志織と一緒に静かに学校から出て行った。手紙の書き置きもしなかった。
これからあっと言う間に寒くなるだろう。行き先は自然と関東へ戻る事になった。埼玉の秩父辺りならどうだろうか。俺と志織は歩きながらそんな話をした。
俺は人助けをした。出来た。多分、志織も人助けをした事、出来た事に気分がいいはずだ。志織の足取りが軽かったように見えた。
俺は気分が良かった。
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