なるべく綺麗なゾンビを探す。が綺麗なゾンビは居ない。なるべくまともなゾンビに近寄る。ゾンビは逃げようとするが動作が遅い。俺は自分の左腕を切り落とし、ゾンビを摂取する。これで朝には綺麗な左腕になる。
急いで志織の場所に戻る。周りを見渡す。俺より強いヤツは居ない。
強弱センサー。ゾンビ独特の知覚センサーで、自分より弱い物に襲いかかり、強い者からは逃げる。それは人間の生態反応。健康状態にも役立った。
俺はこの感覚を強弱センサーと名付けた。それしか思い付かなかった。志織に得意げに言ったが、センスが悪い。と志織は大きく笑った。
当時の志織はあまり笑わなかった。だから、このネーミングは変えなかった。
志織は人間だから弱い。ここにいるゾンビよりも弱い。俺がそばに居ないと確実に襲われる。拳銃を持とうが刀を振り回そうがゾンビは臆さず襲う。今のところ俺より強い反応のゾンビや人間はほとんど居なかった。
俺の強さがどれ位強いかは分からない。それも知りたい疑問の一つだった。一度だけ襲ってきたゾンビがいた。そいつは多分プロレスラーだと思う。大柄で一目見て分かるほど筋肉が凄かったからだ。だが、動作が素早くない。賢くもない。それでもゾンビは怖い。疲れを知らないし、ゾンビはアリのようにたくさん居るのだ。
ゾンビ同士も喰べ合う。弱い者から喰べられていくので、いつかは必ず強いゾンビだけになる。疲れを知らず痛みも感じない。睡眠も必要無い。俺もそうだが。
俺と志織の周りに集まるゾンビは、志織を狙っているが、俺が居るから近寄れず、ただ遠巻きに着いてくるだけ。道中、見つけた遺体や自分より弱いゾンビを喰べながら着いてくる。
遅くなろうが何故か必ず俺達の前に現れるゾンビがいる。一年前に着いてくるゾンビに黄色や赤のカラースプレーをかけた事があった。皮膚呼吸かもしれないから。と。そのゾンビ達がまだ何体か居る。志織が色の名前を付けた。ソイツらは意外と役に立っている。
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