ゾンビが近付いてきたので再び移動。十五分ももたなかった。車が塞がって通れない道。元の道を引き返す。
道の真ん中を通るがゾンビがいる。急いで降りてゾンビを田んぼに押して再び乗る。志織にも運転をさせてみようかと思った。
広い道に出て、志織と交代。ギアの踏み方を教える。三回ほどエンストしただけであとは走れるようになった。吹かし気味だがそれもすぐ慣れるだろう。
「楽しい?」と聞いた。志織はうなづく。サイドカーだから倒れる心配はほとんどない。ずっと隣で座ってるのも退屈だったのだろう。早く気付いてあげればよかった。
退屈とか、乗りたいとか、そういう欲というか要求を志織は言わない。出来る限り俺が気付いてあげたい。ごめんな。と心の中で謝った。
「好きなだけ乗って」
俺は言った。けっこうな時間、志織は運転していた。同じ道は走らず、病院からもあまり離れない。偶然なのか、考えて走ってるのか?考えて走ってるとは思えない。初めての運転。しかもマニュアル。そんな余裕はないはずだ。走らすだけで精一杯なはず。
けっこう走っているので、ここら辺りにいる人間にはバレてしまってる。それでも志織の走ってるのを止める気にはなれなかった。本来なら止めるべきなのだが、滅多にない志織の意欲的な行動だったから。飽きるまで乗っていて欲しかった。
ガソリンの心配も無しにした。まだ予備タンクは満タン。俺はバイクの方のタンクが空になる前に毎回入れていた。
どこにバイクを隠せばいいか。山の中か、どこかの車庫や壁のある家か。結局、山の中に隠す事に。身体を洗いたいせいもある。適当な民家に入り、タオルやシーツを取り、山の方へ向かう。
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