ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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現実.72 第二章突入

公開日時: 2021年1月15日(金) 07:56
文字数:962

  朝日で空が明るくなる頃、志織が起き出し、あの頃と変わらない同じ一日が始まる。欲しい物資を探しながら歩き続ける。

  包帯が見つからず、シーツやタオルを口と頭を覆う。服もフードのある服を着るようになった。

  都会はゾンビが減り、人間が多くなると思っていたが、人間の数も減っているように感じる。死んだか、人気のない田舎に行ったか。そのどちらか。その両方か。


  俺からみればこの傾向はありがたい。ゾンビより人間の方が怖い。だが疲労しきった人間を見かけるとそれも杞憂で終わりそうだ。でもこれだけの荷物を引いて歩いてるのだから、いつ襲われてもおかしくはない。それに連れは女の子だ。

  フルフェイスヘルメットは音が聞こえずらいので首にかけている。いざという時にだけかぶる。


  日に日に涼しさが増し肌寒くなりつつある。また、どこか人里離れた場所で一冬過ごそうと考えるが、今ある食料だけでは足りない。

  俺は冬の方が利便でいい。ゾンビを凍らせて食べれば汚れないし、左腕の腐臭も少なくなる。


  突然かなり近くから発砲音が聞こえた。俺も志織もしゃがみ隠れる。


  銃声音は一発だけ。


  耳をすまし、神経を張り巡らす。聞こえてくるのはゾンビのウロつく音と驚いた鳥達の声。人間の声は聞こえない。

  銃声はそれきり。ゾンビ相手によほどの事がない限り銃は使わないだろう。


  考えられるのは人間相手。と思い込んでいたら「自殺?」と志織が言った。その可能性もある。夜なら人間と出くわす可能性があるが、昼間は誰もが隠れている。俺達は音の聞こえた方へ向かう。ゾンビの動向である程度は分かる。


  マンションの中に入っていくゾンビを見つけ俺達も中に入る。階段にバリケード。ゾンビが集まってる。人間がいる証拠。俺達にも志織目的のゾンビが三十体以上付いてきている。狭い場所は危険過ぎる。


  マンションへ出入り出来る場所が必ずあるはず。表に出てマンションを調べる。マンションの二階のベランダにハシゴがあった。多分ここから出入りしてるのだろう。

  志織を塀の上にあげる。俺はロープを取り出し、うまくベランダに引っ掛けよじ登る。木から木へ飛び移ったり色々と身体を動かしたせいで、器用に登れた。ハシゴを降ろす。

  ゾンビに近付き、ゾンビを散らばせる。俺が近づくと逃げて行く。志織をハシゴに登らせ二階のベランダへ。俺も登りハシゴを持ち上げる。


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