夜更けに陸を見つけ岸に辿り着いた。再び激戦区へ。俺は早く決着をつけたかった。ジリジリと悲観したりするのがイヤだった。ライフルを探しながら進む。オノや刀などの近接武器は、死体を探せば見つかる。がライフルは見つからない。見つけても弾が無い。
志織は何本ものスポークとナイフを探し次々と身にまとった。
「憶測だけどね。二つだけチャンスはあるんだ」
志織が唐突に言った。俺は志織と向き合う。
「多分、ヒロはダビデに支配されないと思う」
ダビデは強い敵に自分のパーティクルで包み込み支配する。でも俺には通用しない。と志織は説明した。だが俺も赤色に発光してる。ダビデのパーティクルが付いてる。
俺は自分の手を見た。自分の発光は分からない。志織の答え。
「その赤色は私のパーティクルに付いてる色だと思うの」
「俺の発光は志織のパーティクルなの?」
志織はうなづく。
「パペットは本体のパーティクルで動かしてるのよ」
なるほど。そういう仕組みなのか。と思った。
「ヒロは吸収出来ないし、ヒロが意識ある限りは私のパーティクルでさえ送る事が出来ないのよ。他の人からもパーティクルを送りつけられないはず」
志織が動けなくなっても俺だけ動ける。だが動けても不意をつける事は難しい。
「動けても俺では倒せないよ」
俺とダビデとでは世界チャンピオンと一般人の差はあるはず。
「逃げる事は出来るはずよ」
志織の言葉。基本的に持久力や筋肉の差はほぼ変わらない。身体の大きさで多少変わるくらい。違うのは戦闘体験の差が違うだけ。
「志織を抱えて逃げる?なら今から逃げて志織が支配される前に頭だけにして…」
俺の言葉に志織は首を振って言った。
「逃げる事はしたくない」
俺だけ逃げるのは嫌だ。言葉に出さなかった。俺も戦う。その言葉も出せなかった。その代わり一つ妙案を思いついた。
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