ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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現実.152

公開日時: 2021年4月23日(金) 09:25
文字数:749

夜更けに陸を見つけ岸に辿り着いた。再び激戦区へ。俺は早く決着をつけたかった。ジリジリと悲観したりするのがイヤだった。ライフルを探しながら進む。オノや刀などの近接武器は、死体を探せば見つかる。がライフルは見つからない。見つけても弾が無い。


志織は何本ものスポークとナイフを探し次々と身にまとった。

「憶測だけどね。二つだけチャンスはあるんだ」

志織が唐突に言った。俺は志織と向き合う。

「多分、ヒロはダビデに支配されないと思う」

ダビデは強い敵に自分のパーティクルで包み込み支配する。でも俺には通用しない。と志織は説明した。だが俺も赤色に発光してる。ダビデのパーティクルが付いてる。

俺は自分の手を見た。自分の発光は分からない。志織の答え。

「その赤色は私のパーティクルに付いてる色だと思うの」

「俺の発光は志織のパーティクルなの?」

志織はうなづく。

「パペットは本体のパーティクルで動かしてるのよ」

なるほど。そういう仕組みなのか。と思った。

「ヒロは吸収出来ないし、ヒロが意識ある限りは私のパーティクルでさえ送る事が出来ないのよ。他の人からもパーティクルを送りつけられないはず」

志織が動けなくなっても俺だけ動ける。だが動けても不意をつける事は難しい。

「動けても俺では倒せないよ」

俺とダビデとでは世界チャンピオンと一般人の差はあるはず。

「逃げる事は出来るはずよ」

志織の言葉。基本的に持久力や筋肉の差はほぼ変わらない。身体の大きさで多少変わるくらい。違うのは戦闘体験の差が違うだけ。

「志織を抱えて逃げる?なら今から逃げて志織が支配される前に頭だけにして…」

俺の言葉に志織は首を振って言った。

「逃げる事はしたくない」

俺だけ逃げるのは嫌だ。言葉に出さなかった。俺も戦う。その言葉も出せなかった。その代わり一つ妙案を思いついた。

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