ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
sadojam

現実.116

公開日時: 2021年3月23日(火) 08:40
文字数:950

パルは微動だに動かない。声はパルの声だが口が動いていない。でも確かにパルから聞こえてくる。

AZの言葉に俺は、何が?と聞く。

「私は人間を創ったが私自身の意思を入らないようにした。私の意思で未来を作ってもつまらない。人間が勝手に考え行動出来るようにした。だが自滅行為をした。予想はしていた。ポピュレーターを創った。だがこんなに何度も過ちを繰り返すとは思わなかった。ポピュレーターの意思が反映された。再び予想し計算し直した。いつしか人間とポピュレーターの同時並行文明。より複雑になった。おかげで随分と時間は潰れたよ]

俺は黙ったまま聞いている。

「そして新たにお前だ。いつかはお前のような存在はあり得るとは思っていた。お前はポピュレーターの身体を持った人間だ。私の意思と意識が関与出来ない。お前はどうなる?私はそれを観ていきたい」


俺はどうなるか?分からない。

「俺の役目は?これから人間は、地球はどうなるのですか?この歴史が繰り返されるのですか?」

それにより俺は予測を立てていくしかない。

「私には分からない。一番可能性の高い予測は、滅びるというよりも変化してく。何千年かけて」

「何が起きるのですか?」

「地球の大気が壊れ、人間は地中で生活する。そこで地底で暮らす生命体として過ごす」

「俺の役目は何ですか?汚染されないように人間社会を変えてく事ですか?」

俺はそこまで先の未来のリアルな予想も予測もつかない。せいぜい百年先までだ。

「お前の存在が祝福か呪いかはお前自身で決める事だ」

その言葉には喜びや楽しみ、期待があった。でなければ祝福や呪いの言葉は言わない。


確信はないが、AZの時間潰し。何も考えなくて済む時間は一秒も持てない。ずっと時間を潰していく。何億年も。永遠に。

地球すら先に尽きるだろう。そうすればまたAZは何もない空間を彷徨う。地球のような星を探し続けるだけ。

AZは色々なポピュレーターを通して、疑似体験をしてく。そして未来を予想する。それだけがAZの楽しみで、存在意義なのだろう。役目があるとすれば唯一、地球を壊さないようにする事。


ポピュレーターが人間のように地球を壊すような自滅行為に走るかもしれない。でもそれを防ぐ手立ても考えているのだろう。

人間もポピュレーターも俺も、全てはAZの生き甲斐の為に在る。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート